コメディ・ライト小説(新)

Re: ハツコイ【コメント募集中……|´-`)チラッ】 ( No.771 )
日時: 2017/03/04 22:39
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

~夏海サイド~

このまま、ずっと4人と同じ学校……雄太と同じ学校がいいなぁと思ってしまって大学なんて行きたくないと思ってしまうことがある。

それでもやっぱり、行きたい。

携帯をぎゅっと握った。──画面にはさっき4人で撮った写真が写っている。

「でもこれでもう終わりってわけじゃないよね」
そうとは分かっている。
……3人と同じ学校じゃなくなる学校生活なんて、お父さんとお母さんが死んでしまう前と死んでしまったすぐ後の時ぶりなのだ。

まだ引っ込み思案はある。──完全に消えていないのだから、友達なんて…3人以上の友達ではなくても、友達と呼べる人が出来るのか……不安でたまらない。


「1人は嫌だ」
そう呟いて、ベッドに倒れ込んだ。

好きなことを……音楽を学ぶために行くのだからそんなこと気にしなければいいって思うかもしれないけれど、やっぱり何かと付き合いは大切だと私は思う。


雄太にも、今までは同じ学校で同じクラスですごく近い存在だったからいつでも顔を見れたし話せたし会えた。
そういうのもなかなか出来なくなるんだ。

不安。
怖い──もしも、もしもだけど結婚とかをすればずっと一緒なのかな。

私と雄太はきっと、誰よりも結婚が楽しくて幸せなものだけじゃないということを分かっている。

簡単に考えられないし、思えないし、言っていけないのは分かっている。

でもずっと最近は、考えてしまう。思ってしまう──口に出しそうになる。


色々なことが私の周りにあって、どれも中途半端な状態が今だ。
きっと解決しないと、自分の中ですっきりしないと……いい演奏なんか出来ないと思う。

全くの無関係な事柄だと思っても、案外──最終的に繋がっていたりするものだ。

……これが解決したから、ここの音の問題も似たような考え方をすればいいのではないか、……ここの音みたいな感じで、もう少し強く思うことでなにか今と変化はあるのか、のようにだ。

雄太も私も自分の夢に向かって、目指しているところがある。
お互いにそれを応援して支え合える関係でありたいなと思うんだ。

なんだろう、嫌な予感もしないしいい予感もしない。
どうすることも出来ず、ただただぎゅっと目を閉じた。

私は何を求めて、何を与えようとしているんだろう。

分からないままじゃ、辛いままだ……。


──傷つけることを、恐れないで少しくらいなら傷ついてもいいのかな。

【続く】

雄太サイドと夏海サイドで、少し文章が重なっている部分があるので比べて頂けるといいなって思っています!

いつも小説を書いている時は、洋楽を聴きながら書いているのですが今日はなんだかすんごい歌ってしまって……執筆があまり上手く出来ませんでした(((おい
……いつも下手ですが、いつも以上に今日はgdgdです笑

byてるてる522

Re: ハツコイ【コメント募集中……|´-`)チラッ】 ( No.772 )
日時: 2017/03/08 18:49
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

~夏海サイド~

──長い長い、終わりの見えない不思議な夢を見ていた。

今までのこと──ピアノを始めたことから、お父さんお母さんが死んだこと、雄太や百合たちと出会ったこと……その全部が、夢でした──というオチの夢だ。

どんな夢だろうと、必ず朝起きた時には首がすごくこっているのだ。

最近の私の1日は、このこった首をほぐすことから始まる。
……しっかりほぐしきれるか──そこで、私の今日はどんな1日かが分かるような気がする。

ゆっくりと首を回して、体も全身で伸びをする。


「眠い」
思ったことは、口に出す。……こんな言葉を誰に聞かれるわけでもないのだから。

そう言って、思って。頬をパシっと叩くと叩いた場所からひりひりが伝わって、目が覚めてくる。

そのまま、制服に着替えてリビングに行った。

……パンを焼いて、卵を──と朝食のメニューを考えていたら目に、テーブルの上にポンと置かれた悲愴の楽譜が目に入った。

結局、特になにも変わらないままピアノのレッスンの日がやってきてしまった。

「どうすればいいんだろう」
どんなにもがいても、解決方法が見つからない。解決する見通しがない。

時間があれば座って考え込みたい勢いだが、今の私に時間の余裕はない……。
とりあえず一刻も早く、朝食を食べて学校に向かう──それが最重要だ。

手を止める暇もなく、オーブントースターにパンを入れたら速攻でフライパンに油を注いでボールで高速にといた卵を流し込んで全体に広げた。
プクプクとしてきたら、箸とフライ返しを使ってクルクルと巻く。

フライパンの底に、卵が残っていないのを確認してからソーセージを焼いた。
焦げ目が割れて、肉汁が出てきたらサッと皿によそう。

待っていたかのように、パンもタイミングよく焼けて、皿に乗せる。

ヨーグルトと野菜ジュースを冷蔵庫から取り出して、テーブルに並べれば──いつもより豪華バージョン朝食が出来上がりだ。

「いただきます」
そう手を合わせて言い、テレビをつける。

すっかり1人の朝食、にも慣れた。

──そろそろ買い物に行かないと、食べるものがないなぁ。……今日、ピアノの帰りにスーパーに寄ろうか。

……チラシを確認してから、買いに行こう。


普通の女子高生──所謂JKと私とでは、朝に考えることがなかなか違う。

──それでも、色々苦労するがこんな生活も充実していると感じられるようになったのは大きな成長や変化だと思っている。

多少なりとは、時間を使うが変わること──変えることはできる。

今の私の演奏もきっと、自力で変えることができると信じてまずは、練習に取り組むしかない。

【続く】

お久しぶりです(((;°▽°))(((;°▽°))

byてるてる522

Re: ハツコイ【コメント募集中……|´-`)チラッ】 ( No.773 )
日時: 2017/03/12 18:39
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

~夏海サイド~

「……だから、今からちょっとだけ良い?」
私がそう言う相手は、百合と瑞希と美佳の3人。──3人は迷う素振りを見せずに頷いた。

私を含めて4人で向かった場所は……音楽室。私が3人にお願いしたことは「ピアノを聴いて」ということだ。

率直な意見を聴きたい時、家族や友達に聴いてもらうのが良いって聴いたことがある。
……それに私もそう思うのだ。

聴いてもらう曲は他でもない──「悲愴」……。

誰も口を開かないまま、音楽室に着いた。ドアを開けて中に入る。
なかなか弾く機会が少ない音楽室のピアノ。──少しだけ窓を開けてから、ピアノの蓋を開けた。

「じゃあ弾くね」
「分かった」

掌を合わせて軽く擦り合わせて、手首を振ってほぐす。
最初に弾く時はいつもこれをしている。

ぎゅっと目を閉じて、開くと同時に鍵盤に手を乗せる。

スルスルと縛られていた手が動き出して、鍵盤を動かして音を奏でていく。──まだ最初の方だけど自分ですごく感じるくらい、集中出来ている。

研ぎ澄まされた繊細な音──あまり人のいない校内に響く音色。
……少し不安で顔をあげることが出来ないけど、3人は今どんな表情でどんな気持ちで聴いていますか。

口に出すことはせず、心でそう尋ねた。

中盤になってきた。
いきなり大きくしすぎると後から変化のつけようがなくなってしまう。──散りばめられたように入ってくる低音も乱暴に上から鍵盤を叩いてしまうとペダルを踏み変えても残ってしまう。

最後まで左手は優しく弾く……。
最後は本当に消えるくらい音を絞って弾くのは今も昔も、私は弾き方を変えていない。


弾き終わったあと、少し自分が疲れて息が荒くなっているのが分かる。
顔をあげて3人の方を見てみる。

「なんていうか、有名な曲だからっていうのもあるんだろうけど聴いてて飽きなかった。今まで少しだけクラシックとかそういう曲に抵抗あったけど夏海の弾いたこの曲……悲愴は、すごく良かった」

「うん。曲の雰囲気が変わるところで弾き方も変えてたの伝わった!」

「戦いじゃないのは分かってるけど、夏海は常に勝っていてこの曲自体の何倍も先を進んでいるような感じがした」


3人の言葉を聞いて考えてみる。

──自分1人で弾いている時よりもいい演奏ができた。……自分以外の誰かがいることで実力以上を発揮できる。

聴いてもらっている、と意識することが私の中で良い緊張になって──固くなりすぎない演奏ができたんだ。

「私もね、弾いてて聞いてもらってるんだ……って思うだけで自分で思っている以上の音色がピアノから出たの。──少しだけ音楽室ピアノだからっていうのもあるのかもしれないけど、それだけじゃないと思う」

聴いてくれてありがとう──その思いを込めて私は笑った。
3人も笑い返してくれる。


……身近な人、って本当に大切。
1人だけじゃ解決出来ないことって、たくさん存在すると思うんだ──。

【続く】

今日はたくさんの方の小説にお邪魔させて頂いてます!
少し迷惑かもしれないんですけど、すみません(((;°▽°))

byてるてる522