コメディ・ライト小説(新)
- Re: ハツコイ【コメント募集中……|´-`)チラッ】 ( No.776 )
- 日時: 2017/03/19 20:04
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
~夏海サイド~
改札を出て、ピアノ教室へと向かった。
自然と足が駆け出し始めている──……。
「こんばんは」
「いらっしゃい」
待ってたわよ、と先生は笑顔で招き入れてくれる。……学校で3人の前で弾いたような演奏が出来るだろうか。
不安だったけど、心の中で答えは見つかっているような気がした。
──弾けるかどうかなんて自分次第。けどきっと、弾けるような気がする。……弾ける。
「お邪魔します」
そう言った自分の声が、いつもと違う気がした。
「何か吹っ切れた感じ?」
先生が尋ねる。
「まだ分からないけど、弾いてからきっと分かると思います。自分でも」
「そっか、じゃあ……」
ピアノの椅子を指さして言った。
鼓動が速くなっていく。──手を当てて、深呼吸をすると「そんな固くならないで」と先生は苦笑して私に言った。
「じゃあ弾きます」
「はい」
楽譜を置いた……が、閉じて私は上にポンと置いた。
「見ないの?」
「もう何回も弾いたので、覚えました」
「そっか、じゃあ暗譜でやってみよう」
楽譜は見ない方がいい演奏ができる。
音を追いかけなくて良いから……手の動きを見ながら次のことを考えられるから。
もう耳に焼きついている、なめらかな旋律が流れ始めた。
自分で思ってしまうのは変だと思うが、自分が弾いている音だと思えずに戸惑う。
──ここには、私と先生しかいないけれど……聴いてもらっている。
同じフレーズでも、少しだけ弾き方を変えてみよう。
意識することで自分なりのアレンジ……とまではいかないかもしれないが、弾き方を考えることができる。
過去に囚われることなく、今の自分を出して弾けるようになりたい。
……絶対になる。──変わる。
旋律と平行移動じゃない。──私が引っ張っていくの。
少しだけ手が痛い。
……それでも音が小さくなってしまったら、負けてしまう。
強く自分の心を持ち続けようとした。
最後の最後、今までの集中力をさらに研ぎ澄ませて鍵盤を押した。
スッと手を鍵盤から下ろして、前を見つめる。
……今の演奏、先生にはどう聴こえたかな──尋ねようと体の向きを変えた丁度その時に先生が私に向けて拍手をした。
「夏海、演奏に夏海の気持ちが込められてた。もうその気持ちが多くて多くて、私の手じゃ持ち切れないくらい。夏海も今までこれ以上に色々思っていたんじゃない?」
力が入っていた肩がスッと下がっていく。
「……はい。でも今の演奏に込められました」
「本番までに、その気持ちと意識を忘れないでね!」
力強く私は頷いた。
先生の声と一緒に、まださっき自分の弾いた「悲愴」が聴こえる。
私だけじゃない、きっと先生も安心したと思う。
【続く】
お久しぶりです(((;°▽°))←
部活で走ったんです((kmにすると4km半くらいです←
靴擦れが出来てしまって、まめが潰れて水ぶくれになってしまいました(>_<)
byてるてる522