コメディ・ライト小説(新)

Re: ハツコイ【コメント募集中……|´-`)チラッ】 ( No.780 )
日時: 2017/03/22 19:56
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

~夏海サイド~

「あっ、すみません……」
ピアノ教室から駅に向かう道ですれ違った人にぶつかってしまった。
慌てて振り返りそう言うけれど、その人は見向きもせずにただ舌打ちだけをして早歩きでその場を立ち去ってしまった──。

ふぅ、と小さく溜め息をついてまた駅まで歩き始める。……今日はすごくいい音が弾けたなぁ。

先生の前で弾いたピアノの音がまだ聴こえる。──嬉しくて舞い上がる自分。

……ただこのまま舞い上がっていると痛い目に遭う。──それはもう痛いほど感じた。


駅に着き、私とすれ違う会社帰りの人達を注意しながら避ける。

改札を通ってホームに行くとタイミングよく電車がやってきた……乗り込んでドアの傍に立って流れる景色を見つめた。

いちいち見た景色を記憶する訳では無い。……見つめる、というより流し見た──に近いかもしれない。

家やマンションが立ち並ぶ。……自然が多くなければ、ビルなどが立ち並ぶわけでもない。

大きな特徴がない平凡な景色をただただ、私は見続けていた。


──と携帯がなる。
鞄から携帯を取り出して、鞄を肩にかけた。

……雄太だ。

鼓動が高鳴る。──どこか私はこんなことを待っていたような気もする。



──『駅で待ってる』
そのメッセージを見た途端、鼓動だけでなく頬も紅潮した。
傍から見れば、携帯を手に顔を真っ赤にしている人なんて変な人だと感じるだろう。

あと最寄り駅までどのくらいで着くだろう。──早く、を自分が求めているのは分かった。





*

「夏海」
改札を出て、真っ先に雄太の姿を私は探した。
すっかり他の人と同化して見えた雄太だったが、存在をしるなり雄太だけが私の目には特別に見えた。

「雄太、ありがとう」
なんて言えばいいのか分からず、私は雄太に笑顔を向けた。

──少しだけ雄太も頬を紅潮させたように見えたが、「おう」と目をそらしながら言う姿に笑ってしまった。


1人じゃなくて横に誰かがいる。
横にいる誰かが、自分にとって特別な人。
特別な人は大切な人。

いつの間にか、頭に蘇ってきたのは中学生の時の雄太。
──あの頃まさか雄太と私が、こんな風に2人で歩くなんて考えられなかったなぁ。

きっとあの時知らなかった雄太の表情がたくさんある。
……そのたくさんを、1つでも多く見せて欲しい。

繋いでいた雄太の左手と私の右手……──強く私は手を握り返した。
それを優しく包み込むような雄太の手。


恥ずかしがらずに、目を見て言えればいいのに。
……心では思うけれど、口に出せない。

だから届く事を祈って強く思うよ……。



──大好き。今もこれからも。

【続く】

これにて17章は終了になります。
次回からは新章、どんな展開にするか……そしてどんなラストにするか。

しっかり考えないといけない時期かなと思います←

4月から中2になります(o´艸`)
……小5から始めたカキコと、この「ハツコイ」。

本当にたくさんの方に出会うことができました!


今日はいつもより更新少なめです笑←
いつも1100くらいなのですが、今日は1017くらいでした←

過去は300とかばっかりだったのが信じられません笑(((;°▽°))(((;°▽°))

byてるてる522