コメディ・ライト小説(新)
- Re: ハツコイ【コメント募集中(o´罒`o)】 ( No.799 )
- 日時: 2017/04/20 22:38
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
~夏海サイド~
私が起きた時はすっかり日は昇っていて、11:00くらいの昼時になっていた。
──やっぱり昨日、遅くまでピアノを弾いていたからだろうか……。
「もう1日の半分が終わっちゃう」
もう少しで12:00の正午……つまり丁度半分になってしまう。
今日は自分の中で「買い物に行こう」と決めていたのだから早く起きるべきだった。
──何を買おうか、や……お昼ご飯も一緒に買ってしまおうなど。自分の中でありとあらゆる計画を隈無く立てる。
パッと服を選んで着替える。──近くのスーパーに行くだけだから、そんなに見た目を気にする必要もないだろう……。
足を止めることなく、鞄に財布やその他必要なものを詰め込みながら靴を履いた。
*
「あぁ……終わっちゃった」
すっかり忘れていたが、回転と同時に今日はセールを行っていた。
セール価格と一般価格とでこんなにも値段の差があるのだから、やはり早起きをして買い物に行くことでいい事がある──早起きは三文の得なのだろう。
仕方なくセール品ではない、普通の卵を手に取りカゴの中に入れた。
急いでここに来たからあまり冷蔵庫の中を見てこれなかった──何か買って冷蔵庫にまだあった、なんて事があったら腐らせてしまうかもしれない。
物を買った時、私は1番腐った物の処理が嫌いだ。
「最低限の物だけ買って、足りなくなったらまた来ればいいか」
これで二度手間になってしまう……。
いつもの買い物より、少ない数の物が入れられているカゴを見つめてため息をついた。
ちなみにピアノはと言うと、そこそこの出来だったがすごくいいものは無かったように思う。
──私は努力している、真剣にやっている。けれどそれが結果として結び付いていないのなら、努力している、真剣にやっているとは言えないのではないか。
自分の思い込みかもしれない。
……まだ見つからない正解を探し求めて私はきっとこれからも、もがき続ける。
「お願いします」
いつもの事だが、あまり関係のない事を考えながら色々な事をしてしまう。
ほら、今も私はピアノに対しての自分の現状を考えながらカゴを店員の人に差し出したところ。
──悲愴。
もちろん自分にとって簡単な曲はないし、これからも見つからないと思う。
けれどこの曲は自分の中できっと、特別な曲になる……──。
強く、強く感じる。
自分を真正面から見つめ直して、自分自身と向き合って、見つかる何かがあるはずだ。
【続く】
byてるてる522
- Re: ハツコイ【コメント募集中(o´罒`o)】 ( No.800 )
- 日時: 2017/04/22 23:40
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
~夏海サイド~
「お待たせ!……待った?」
「ううん! 今来たとこ」
雄太とのやり取り──どこか見た事のあるフレーズを繋げている会話に私達は吹き出してしまった。
「じゃあ行こうか」
雄太の言葉に自分の緩んだ頬がきゅっと引き締まるのを感じた。
これから行く場所は──私の両親と、雄太のお母さんのお墓。
……あれ以来行っていないし、今度は自分達で行ってみようという話になり。
駅前で待ち合わせをしていたのだ。
電車の中。
「にしても、雄太のお母さんと私の親が知り合いだったって知った時はびっくりしたよー」
そう、「あれ以来」の時に私は雄太と雄太のお婆さんとお爺さんに会い、昔のアルバムを見せてもらったのだ。
そしたらそこに写っていたのは、雄太のお母さんと私のお母さん。
私と雄太、2人の出会いはここから始まったのだと思っていたけれど過去から繋がっていたって思うとすごくロマンチックに思えてくる。
「そうだよな。あれから俺も色々アルバム見たりしてたんだけどさ、何枚か写真持ってきた。……あ、もちろん許可貰ったからあげれるし」
心配するな、と雄太が笑った。
もちろん写真も気になっているけど、今の私は目の前の雄太でいっぱいいっぱいだった。
「ありがとう」
「おう」
電車内は私達以外には数える程度しか人数がいない。
──その分だけ向かい合った座席の後ろ窓に流れていく景色をはっきりと見ることが出来る。
「こっちに海がある」
雄太の指さす方を見てみると確かに、前にも目にした海が広がっていた。
「やっぱ綺麗だね」
「そうだな」
ということは、もう少しで降りる駅だろうか。
「この次の駅で、降りる」
「了解!」
昔に私はお母さんに「素敵な人に出会えるといいわね」と言われたことがあったと思います。
その「素敵な人」の基準はそれぞれで変わってくると思うけれど、私がこの人生で出会った素敵な人の中で最も素敵な人だと思える相手は、きっと私の横に座っている人です。
その人と今から、お母さんとお父さんの元へ向かいます。
──何となく自分でも分かる気がする。
何か自分の身に、特別なことが起こらない限りこの関係性は……雄太との関係性は変わらないんじゃないかってこと。
断言するのは難しいけど──……。
「夏海、降りるよ」
「うん」
そう返事をした私の胸はすごくいっぱいだった。
【続く】
ちょっと明るい感じかもですが、もしかしたらこれからちょっと重くなるかもです。
……本当に何回重くなるんだよって感じですよね笑←
byてるてる522