コメディ・ライト小説(新)

Re: ハツコイ【~3周年~ 本当にありがとうございます!!】 ( No.821 )
日時: 2017/10/11 16:32
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

~夏海サイド~

「今日ほんとに、来てよかったなぁ」
横に座っていた雄太が、焼きそばを食べながらそう言った。

同感だ。私も今同じことを思っていた。

──同じ時を共にする。その瞬間に同じことを考える……たくさんの奇跡が今重なった。

「私も。……雄太の浴衣が見れてよかった」
「夏海、やっぱ浴衣似合うな」
「……ありがと」

急に言うもんだから、心臓が飛び出すかと思った。
私は何となく照れくさくて、「よかった」とかそういう似合ってるっていうニュアンスを含むような言葉で伝えがちだけど雄太はどストレートだからたまにもの凄いことを平然と言うから常にドキドキさせられっぱなしだ。

ほら──今も、似合ってるとかそんなことを平然と言って、笑顔を向けてくるんだからかなわない。


きっと今顔真っ赤だ。 すごい頬が熱い。

そんな私はお構いなしに花火は次から次へと空に上がって、開いては消えていく。



*

最後の花火が上がり、空から静かに姿を消したあと終了のアナウンスが入った。
それを合図に、私達も立ち上がって駅まで戻る。 すっかり人でいっぱいだ。

「これじゃあ、しばらく電車待つしかなさそうだね」
「うん。 いいよ、のーんびり帰ろう」
「おう」

気を抜いて、ボーッとしてたらすぐはぐれちゃいそう。
きゅっと手を握りしめると、ガッと雄太に腕を掴まれた。

「……はぐれたら、危ないし」
「ありがとう。 じゃあ遠慮なく……」
掴まれた腕ではなく、手をそっと握った。
私の小さい弱々しい手とは違って、雄太の手は大きくて力強い。 上から私の手も包み込んでいる。


その場から、ほとんど身動きが取れない状態。──私達のことを押しのけて行く人も結構いるけれど、それでも不安は感じない。
握り返された手があるから、安心してる。




改札を通って、駅のホームに着いたのは結局20分後くらいだった。
──こっちの電車に乗る人は少ないらしく、全然人がいない。 シンとしたホームに並んで腰を下ろしていた。

間もなく電車が来ます、というアナウンスが流れる。

「ねぇ、雄太……」
私は雄太に話しかけたつもりだったけど、ちょうど被ったタイミングで電車が入ってきて私の声をかき消した。
ん?と雄太は私の話に耳を傾けている。

今日はありがとう、と言おうとしていた私の口はその言葉の代わりに
「また、来年もふたりで来よう」
と言葉を発していた。


「あぁ。絶対行こう」
来年──ってことは私達は大学生で、それぞれが本格的に自分の将来に向けて歩み始める。
今は雄太も、多分私も……まだ迷いの残る目をしていると思うけど、もっと真っ直ぐな目をしているのだろうか。


──開いた扉から、電車に乗り込んだ。


【続く】

3周年、本当にありがとうございます(*・ω・)*_ _)
ここまで続けてこられたのも、皆さんのコメントがあったからです!!

これからもよろしくお願いします(* ॑꒳ ॑* )

byてるてる522