コメディ・ライト小説(新)
- Re: ハツコイ【コメント募集中( ᐛ )و】 ( No.835 )
- 日時: 2017/12/25 17:17
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
~夏海サイド~
大きいグランドピアノの前に、私は立った。
思わず目を背けたくなるほどの人の数。
そんなことでうじうじしているようじゃ、自分の演奏ができない。……深呼吸を軽くしておじぎをした。
パチパチという拍手。──顔を上げると雄太や百合たち姿が視界に入った。
美佳が拳を大きく振っている。 そっちに向けてちょっとだけ口角を上げて微笑んでみた。 もう1回やってきた緊張から少しずつ解かれるような、そんな感覚を私は少なからず感じていた。
「これで最後……」
練習をしました、と言うのは簡単なことだ。
その練習の成果というものを、1週間の中にあるレッスン日や発表会、コンクールで出せなければ練習したということを認めてもらえない。 分かってもらえないのだ。
私自身が弾く悲愴。 誰か人に聞かせることはもう最後だろうなと思うのだ。
最後はどうするのか。……──今までで1番の演奏がしたい。
昔にあった発表会の時に弾いた鍵盤の感触と同じだ。
シンとしたホールには私の奏でる「悲愴」しか流れていない。
──ちゃんと弾けてるのかな?
今まで練習してきたこと。
楽譜に書き込んだこと。
先生に言われたこと。
過去に弾いた時のトラウマ。
何もかもが欠けることなく私の頭に蘇ってきた。
それほどの私の思いが詰まった音色だ。 そこらの音色とは比べられないくらい厚くて重い音になっているだろうか。
けれど指の動きとかは軽くて。
……過去の自分にさよならと言えた気がしたんだ。
*
「夏海!!」
全ての発表会が終わったあと、百合たちが私の元へきた。
横にいた先生が「またあとでね」と私とみんなだけにしてくれた。
「すごいよかった! 本当に感動した」
美佳が泣き跡の残る顔で私にそう言った。
「みんなのお陰で、私も今までで1番の演奏ができた」
本当にありがとう、と感謝を伝える。
みんながいたから。 支えてくれたから。
一人だったらきっとここまで弾けるようにならなかったと思う。
*
百合たちは先に帰った。
私はそのあとに、雄太に送ってもらうことになり一緒に電車に乗っている。
「……あんまり音楽のことはわからないんだけど、なんだか聴いてて思ったことは夏海らしいなっていうことと、もうちょっと聞いていたかったなぁっていうこと」
そう言って、私に笑いかけてくれるそのことが嬉しくて、私は泣きそうになってしまった。
「私だって、雄太に聴いてもらえて良かったなって思ってるよ!」
お互いの思ったことを伝えられる。
そんな関係に私達はなれている。
──私はいつも、雄太の優しさにすごく甘えているのだ。
大切で他の何にも代えられないかけがえのない存在である雄太に。
【続く】
なんだか本当にペース遅いです( ̄▽ ̄;)
MerryX'mas٩( ᐛ )( ᐖ )۶
みなさんはどんなクリスマスを過ごしましたか?
私は今日は部活がなかったので、友達と遊びました( ̄∇ ̄*)ゞ
byてるてる522