コメディ・ライト小説(新)

Re: ハツコイ【コメント募集中( ᐛ )و】 ( No.838 )
日時: 2017/12/30 14:57
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

~雄太サイド~

思わず泣きそうになった。
演奏を終えて、ピアノの椅子から立ち上がってお辞儀をしたあとの夏海はすごく綺麗だった。


*


帰りの電車の中で、すぐに「すごかった!」「感動した!」言おうと思っていたけどそんな一言で片付けちゃうのがもったいなくて、

「……あんまり音楽のことはわからないんだけど、なんだか聴いてて思ったことは夏海らしいなっていうことと、もうちょっと聞いていたかったなぁっていうこと」
そう長ったらしい文章を夏海に送った。


照れ隠しでちょっと笑ったら相手の夏海が泣き出しそうな表情になるもんだからつい……つられて泣きそうになるのを堪えた。

「私だって、雄太に聴いてもらえて良かったなって思ってるよ!」
目尻を指でキュッと抑え、俺にそう伝える夏海はすごく嬉しそうで幸せそうだったから俺も幸せになれた。



気がついたら、夏海は俺の前に現れて大きなインパクトを俺に与えた。
……自慢ではないけれど、クラスでもまぁまぁ友達が多かった俺は「あんまり関わらなそうなタイプかな」なんてちょっと見ただけで判断して。

──しばらくして俺の目の前から、スっと消えてもう一度君に再会した時はどうしたのと声をかけるのを躊躇ためらうくらいになっていた。



「……そろそろ駅だね。 どうしよっか、まだ時間はあるけど」
「じゃあ少しだけゆっくりして帰ろ」
「うん」

ほんのちょっとだけ、俺の知ってる夏海よりも成長した夏海の頭に手を乗せた。

いろんなことを乗り越えて、俺のことを置いていって先へ先へと進んでいく君を自分の手で引き留めたんだ。


いつだって、夏海は隣にいて欲しいから。


「ちょっと俺、連れてきたいとこあるんだけどさ……」
「うん?」
不安そうに首を傾げる夏海の手を繋いで、グイッと引っ張った。

「ちょっとだけ目つぶってて」
「わかった」
「すぐ近くだから、着いたら言う」
「うん」

──目を閉じると、周囲の確認ができなくなるからだろうか。 俺の手をぎゅっと握り直す夏海の手。




「着いた。目開けて」
「すごい長かったから、ずっと緊張しっぱなしだったよ。 どうしたの……」
わぁっ、と夏海から息を呑む声が聞こえた。

「ここ。すごい夕焼けが綺麗なんだよな」
「すごい……!」

はしゃぐ声から、だんだんと鼻をすする音へと変わっていく。
思わず横を見ると感動して泣いている夏海がいた。

「本当に、今幸せだなって思った」
泣き崩れた顔で笑うから、すごいぐちゃぐちゃになってる。

「俺も、今幸せだなって思ってる」

──幸せ宣言。
沈んでいく夕日を見ながら、今のこの瞬間の幸せは消えないと俺の中で確信があった。


まだ夏海と俺の手は、繋がれたままだ。


【続く】


2017年、恐らくこれが最後の更新だろうということで今年ラストは雄太サイドで締めくくらせて頂きました❀.(*´▽`*)❀.

多くの方と今年出会うことができ、本当に幸せな1年でした。

そういえばですが、新年のイラストは「二つの月」で掲載することにしました。
昨日イラストは大体完成したので、少しだけ私のグダグダな文章を入れ込もうと思います( ᐛ )و


本当にありがとうございました!
良いお年をm(*_ _)m

byてるてる522

Re: ハツコイ【2017もお世話になりました( ¨̮ )♡*。゚】 ( No.839 )
日時: 2018/01/05 22:42
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

~夏海サイド~

「……やっぱり夢じゃなかったか」
昨日の夕方に見た、夕焼け。 寝て起きた今でも鮮明に記憶に残っている。

携帯が鳴って、雄太からのメッセージが表示される。
──『昨日はありがとー』
やっぱりあの夕焼けは私だけの夢じゃなかったんだ、と実感した。



でものんびりしている時間はない。
急いで着替え、朝ご飯のコーンスープを一気に飲み干す。
焼けたパンにブルーベリージャムを塗って、口に運びながら携帯を確認する。

「……雨模様、か」
折りたたみ傘を探そうと席を立ち上がり、それと同時に少し大きめの最後の一口を食べ切った。



靴を履いて玄関を出ると、空は雲に覆われていて微かに青い空が覗くだけだった。
──そろそろ制服も衣替えで長袖になるのかな。 だとしたら私が夏服を着るのもそろそろラストに近づいてるってこと……?
そう考えると急に夏服が恋しくなってきた。
けれども寒い冬をこんな腕を出してまで過ごし切る自信はないので、大人しく衣替えに従うことになるだろう。


改札を抜けると、ホームにいつもよりたくさんの人が集まっていた。
慌てて時計を確認する。 急いだお陰か少しばかり時間に余裕がある。
ほっと胸をで下ろすと、耳にアナウンスが流れてきた。

上を見ると、電光掲示板。……とある電車が止まってて、その影響でこっちの電車から行く人が増えているらしい。

「間に合う……かな」
何度も何度も時計を確認してしまうけれど、あまり針の位置は変わっていない。


何だか今日はツイてない。
──ふと、そう感じる時は誰にでもあることだと思う。

きっかけはそれぞれ違っていて、テレビでの占いが最下位だったとかご飯のスープをこぼしちゃうとか、寝坊するとか。
ちょっとしたことでもツイてないって思ってしまう。
そんなことが目の前で起きた。


……今日の私は、果たしてどこまでツイてないのだろうか。

【続く】

明けましておめでとうございます( ¨̮⋆)
2018年もよろしくお願いしますm(*_ _)m

6月になったら私もついに、カキコスタートから4年です❀.(*´ω`*)❀.
信じられないくらいの上達のなさです(*゚v゚)


部活が今日から始まりました( ºΔº ;)
キツい……( 'ω')
動けない……( 'ω')( 'ω')

byてるてる522

Re: ハツコイ【素敵な1年になりますように(*´ー`*)♡】 ( No.840 )
日時: 2018/01/09 12:56
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

~夏海サイド~

──HRが終わった。

「夏海、朝すごいギリギリだったね」
「ちょっと電車が遅れてて……」
1時間目の準備をしていると、百合たち3人がやってきた。

「あぁテレビですごいやってた。 駅混んでたでしょ」
「テレビでやってたのー!?」
いつもならテレビを見たり、携帯のニュースを見たりしながら朝ご飯を食べるけれど、今日に限ってそれをしなかったせいか。
もっと時間に余裕を持っていれば、少し家を早く出たりバスで行ったりできたのに……。

「ねぇ、外」
百合が窓の方を指さしてそう言った。
そっちを見ると雨が降っている。

「うそ……。 折りたたみ傘結局なくて、降りませんようにって祈りながら来たのに」
「まぁ元気だしなって。 4時間目の体育はなしかな」
汗くさくならないー、と美佳は嬉しそうだ。

これ以上、私は一体どんな不運に巻き込まれるのだろう。

「とりあえず、今日は気をつけなって。 いつも通りのことを少しだけ気をつけながらやれば大丈夫だよ」
「そ、そうだね!」
瑞希の忠告を素直に受け取って、私は注意深く生活した。


*


──2時間目。

「……じゃあ次のページからー、村田さん呼んでください」
国語の時間私は当てられた。 しかも、よくある直前までの内容を聞いていなかったパターンだ。

「はい。 えーっと……」
教科書を見るフリをしながら、周りに視線を送る……と、「ここから!」と瑞希が教科書を指さして教えてくれた。

慌てて読み始めると、険しくなり始めていた先生の顔が少しずつ和らいでっていた。


「はい、そこまでで大丈夫です。 今度はもっとスムーズに読み始めて」
ピシャリと最後に言い放たれ、私は肩が上がった。

ボーッとしている時に指されるなんて、これも朝の不運の一部なのかもしれない。
そう考えるとゾッとした。


*


──昼休み。

「村田、ちょっとこのノートを職員室の机に置いといてくれないか?」
先生が席から立ち上がった私を呼び止めた。
まさかとは思っていたけれど、本当に来るなんて──。

「……わかりました」
断る理由は面倒だからで、そんなんじゃ先生も納得してくれないのは目に見えているため、言い合う気力もない私は素直に従った。

「ちょっと、重すぎない?」
35人のノートを1人で運ぶ。──昼休み一応女子である私が。

階段を降りているけれど足元が見えなくて不安定にグラつくノートのタワーに嫌気がさす。
……と、前から思い切り人にぶつかられて、タワーはバラバラと崩れた。

ぶつかった人は、「あっ」という顔をしたものの友達に呼ばれて何事もなかったかのように行ってしまった。
……最悪だ。

もう、今日はとことんついてない。
ノートを集めながら、私はため息をついた。

【続く】


新しい小説が思い浮かびましたᕕ( ᐛ )ᕗ
もっと構想固まったら、書こうかなと思います。(5月頃←)

byてるてる522