コメディ・ライト小説(新)

Re: 空に輝く二つの月。【イラスト掲載(*´꒳`*)】 ( No.107 )
日時: 2017/06/18 23:04
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

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「ゆえ、顔色悪いけどどこか具合でも悪いの?」
控えメンバーの2年の先輩が私の顔を覗き込んで、そう尋ねてきた。
──どうしよう、っていうくらいボーッとしちゃってなぁ。

「い、いえ! 大丈夫です。ご心配おかけしました」
慌ててそうおじぎをしながら言うと、先輩はやれやれと言った様子で言葉を続ける。

「……まぁ何となく想像はつくんだけどさ。誰にでも失敗はあるから、そんなに引きずらないで! その分のミスはこのあとの試合で、いかに選手をサポートできたかで挽回がきくと思うよ?」

「はい!」

今の私には、遠くかけ離れた先輩よりもはるかに身近にいるこの先輩がかっこよく目に映って見える。


そうこうしているうちに、駅に着いた。



*

会場校の学校は、県大会の常連校ですごく強い学校だ。
今年は、関東大会まで行くんじゃないかと噂されているほどの学校であり、私たち同い年の中学生からしても憧れの学校という感じである。

「広いー……!!」
グワッと広がる大きい体育館に、私がいつも通ってる中学とは比べられないくらい高い天井。

脇にあるギャラリーにはたくさんの横断幕が貼られている。


「あそこが、私たちの学校の荷物置き場だから先に控えメンバーはそっちへ行って横断幕とかもつけてきてもらえる?」
そう七瀬先輩から手渡されたのは、引き継がれてきた「繋ぐバレー、繋がる関係」の横断幕だった。

「分かりました!」
私は今貼られてる横断幕のどれよりも、この横断幕が好きだ。


コートに入っている七瀬先輩を始めとする選手メンバーのように──……ふうちゃんやみのちゃんのように、バレーという一つのスポーツを通して繋がっていく関係というのを身をもって感じてみたいのだ。


……私とようちゃん、かほちゃん、みなみちゃんの3人で横断幕をつけに行った。

「もう少し右にずらしてー……」
下から先輩の指示を聞きながら、位置を確定させる。



「……集合!」
下から七瀬先輩の掛け声が聞こえる。
きっと選手でユニホームを着ているメンバーに言ったのだろう。

「今日は大会で、特に1年生とかはすごい緊張の中だと思うけど練習でやってきたことと自分の力を信じて最後までボールを追いかけましょう!」
──よし!……という声と共にランニングが始まる。

やっぱりそういう姿を見ていると羨ましいと思ってしまう。

「ふうかちゃんも、みのりちゃんも同じ1年生とは思えないくらい実力が離れてるなとか思ってる?」
みなみちゃんは、時々鋭いことを言う。

私は上手くごまかせず、素直に頷いた──。


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