コメディ・ライト小説(新)
- Re: 【オリキャラ募集】空に輝く二つの月。【コメント募集中】 ( No.127 )
- 日時: 2017/10/17 16:02
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
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「……以上で紅白の振り分け発表を終わりにします」
昨日の集まりで説明された、足の速さで順番に紅白を振り分けてクラスで発表を行った。
もしすごいブーイングなんかが起こったら、どう対処しようかと内心ヒヤヒヤしていたのだが、みんな私が思っていた以上に大人びていて文句を言う人は1人もいなかった。
……もしかして内心は、一緒になりたかった子となれなくて悲しがっている人もいるのかもしれないけれど個人の感情ばかり出さないというのをみんなが守れていてクラスは自然にいい雰囲気になった。
「ゆえー! 紅白の振り分け大変だったでしょー」
「お疲れ様でした!」
ようちゃんと、つくしちゃんが私にそう話しかけてくる。
「ありがと! でも全然こんなの大変じゃないよ! もっと大変なことこれから待ってるだろうし……」
「頑張ってるね」
「無理はしないでね」
私達3人のもとへスっと入ってきたふうちゃんのさりげない優しさに感激しながら、私は改めて感謝を伝えた。
私とふうちゃんは紅組。
ようちゃんとつくしちゃん、ついでに美作は白組だ。
敵同士で競い合うものがほとんどだけど、クラス対抗リレーだけは協力して行える唯一の競技なのだから、何がなんでも成功させたい。
……みんなのやる気を消さないようにしっかり練習するにはどうしたらいいんだろう。
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次の日、初のクラス対抗リレーの朝練があった。
……けれど集まった人数はクラスの半分程度。
──昨日のHRで伝えたのに、これしか集まらないって……。
「みんな案外俺らが思ってる以上にやる気ねーのかもな」
グサッと心に刺さる、どストレートな言葉を美作は私に突き刺してきた。
「ゆえ、どうする? これしか集まんなかったし今日は……」
ようちゃんが私にそう話しかてくる。 すべて言葉を聞き終えなくても、どんなことを言おうとしてるのかなんて分かる。
「いや、やろう! 半分は集まってくれたんだし今日はこの人数でもいいからバトンパスの練習しよ!」
みんなびっくりしたような顔を向けてきた。 何よりも私も自分にびっくりした。
ずっと思ってるだけで、あまり伝えていなかった自分の気持ちを今の言葉にすごく強く込めた気がしたのだ。
「じゃあこっちに移動して~」
美作が練習用のバトンを持って、みんなの先頭に立つ。
……思ってたよりもずっと、美作は頼りになる奴だ。
──今日、私は新しい発見をした。
私や美作の思いが、今日の朝練に来なかった残り半分のみんなにも伝わってくれたらいいな──。
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私の学校では体育祭は5月にありました。
38人の中で、36番目に走った今年のリレーは多分忘れないです←
練習では反則をして失格になったりしてしまいましたが、最終的に優勝できたのでほんとによかった。
来年もこのクラスの予定なので、どうなるのかドキドキです( ᐛ )و
byてるてる522
- Re: 【オリキャラ募集】空に輝く二つの月。【コメント募集中】 ( No.128 )
- 日時: 2017/10/22 17:35
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
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放課後、私と美作は作業があって2人で教室に残っていた。
まだ明るい外からは色々な部活からの掛け声だとか、ボールをつく音だとかが聞こえてくる。
「何でか、俺らは毎回ビリだよな」
「うん。 他のクラスと明らかなタイムの差があるわけじゃないし、寧ろ速いくらいなのにね」
私も美作も手を止めることなく、口を動かした。
今日を含めて2回、学年での体育祭練習が行われた。 どっちも学級対抗リレーの練習があって実際に走ってみたのだが、どっちも変わることなくビリなのだ。
最初のスタートではどっちも2位くらいでスタートとそこそこ好調な出だしだったのにも関わらず、最終的にアンカーへバトンが渡される時にはビリにまで落ちてしまっている。
練習後、アンカーの男子が全員に「もっと速く走れよ」とかなりキツい言い方をしてなんだか嫌な空気が教室全体に流れたまま各自部活へと向かったのだが、言い方に問題があったとはいえその男子の言いたいことは分かるのだ。
他のみんなだって、分かっているはず……自分たちに原因があるということを。
けれどどうしたらいいのか、分からないというのも実際のところだろう。
「……タイムは速いのに、遅いのは何でだと思う?」
美作が私に聞いてきた。 私も同じことを聞こうとしていたのだ、私は素直に分からないと伝えた。
「じゃあ、なんで隣のクラスは毎回1位なんだ?」
「それは……」
私達より、練習をしているから。
隣のクラスはいつも全員朝練に来ているように見えるし、2回学年練習でもスムーズで正確なバトンパスで──。
「そっか。 バトンパス」
「え?」
「バトンパス、じゃない? 私達の課題って」
「そうか」
美作も何か、思い当たったことがあったのか「なるほど」という顔つきをした。
今までの私達の練習は、ただ走ったりしていただけで前後のバトンパスなどの確認をあまり行っていなかった。
……明日の朝練で、もし確認を行えば明後日またある学年練習の場で何か変化が表れるかもしれない。
いきなり変化が出るか、と聞かれればそうだと即答はできないが体育祭までの追い上げでやれば何とかなるかもしれない。
この意思を、みんなに伝えるしかない。
……前後で確認し合って、バトンパスをしっかり練習しよう。
基本的なこと──それが何よりも大切で、何よりも疎かにできないことだ。
「明日から早速やるしかねーよな!」
「もちろん! みんなに朝伝えよ!」
「そうだな」
また1つ大切なことに気がつけた。
大切なことに気づけた私達の作業の手は完全に止まっていた──。
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- Re: 【オリキャラ募集】空に輝く二つの月。【コメント募集中】 ( No.129 )
- 日時: 2017/11/28 15:34
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
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「明日は何があっても本番です……」
美作と私が前に立って、クラスのみんなに一言言うようにと先生に指示されたのだ。
前日に私達から、何を言えばいいのかと聞くと「今の自分の気持ちを伝えて」と笑われた。
「時間のない中で、練習して本番を迎えることになりますが怪我だけはないようにして、中学校生活の最初の行事を成功させましょう!」
こういう時に話すの慣れてるのかな。……クラスの雰囲気が美作の一言でわぁっと盛り上がるのを感じた。
このあとに話すって気まずい──。 最初に話しておけばよかったかな。
「……」
次は私の番だ。 結局言葉がまとまってない。
横にいる美作が私の方を見ているのを横目で確認する。
「……明日は雨予報が出ていて、みんな戸惑う気持ちとかあるかもしれないけどそんなの吹き飛ばすくらいな気持ちで頑張りましょう!」
先生が「2人ともありがとう」と笑顔で言ってもらってたのに席へ戻るようにと促された。
クラスのみんなの様子を見る限りでは私は特段変なことは言っていないようだ。
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「明日だねー、体育祭」
放課後の部活でネットを広げながらようちゃんが私にそう言った。
私も手伝う、と言いながらネットの反対側の端を受け取って頷く。
「いやー、不安で不安で……眠れそうにないよ」
そう、緊張していて本当に眠れそうにない。それは紛れもない事実なのだ。
「んでも、クラスの前で言ってたゆえの言葉いい感じだった! 雨吹き飛ばすくらいーなんて、1番みんなの気合いが入りそうな一言じゃない?」
「そ、そうかな~」
「よし、こうしたら絶対ゆえも緊張ほぐれると思ったんだよね」
「えー? じゃあ嘘!?」
「どーかなー」
ほら、手動かして!とようちゃんは私の手を叩いた。
「……良いって思ったのは、本当だから安心して」
「うん」
相変わらず適わない相手だ。
ようちゃんは私のことをなんでも知ってて、すぐ気づいてくれる。
──最後までしっかり行事を作り遂げる。
決めたからには、とことん。
「部活始めるよー!」
先輩の声で、部活がスタートする。
……明日、中学校生活初めての体育祭が行われる。
自分の紅白のチームが勝つことと、学級対抗リレーで優勝することが私達の目標なのだ。
とりあえず全力で。……明日みんなに言ってみようか。
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参照2200ありがとうございます( ¨̮⋆)
byてるてる522
- Re: 【オリキャラ募集】空に輝く二つの月。【コメント募集中】 ( No.130 )
- 日時: 2017/12/22 19:12
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
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──天気は微妙だった。
こういう行事ごとの日は、ほとんど寝坊をしない私は今年も健在していたらしくベッドから飛び起きてカーテンを開くと空を厚くおおっている雲が視界に入り、少しどんよりとした気分になる。
「ゆえ! 今日は体育祭あるの?」
お母さんがそんなことを聞いてきた。……ますます不安になってくるじゃん。
「あるよ! ……やるの!」
ついムキになってしまった。 何だか感情をうまくコントロールできてない。
テレビをつけると、ちょうど天気予報がやっていて降水確率は50%。
1日中どんよりとした天気だとアナウンサーは言っていた。
そんなの吹き飛ばせるもん。 証拠なんかない。 けどできる気がする。
……直感ってやつだ。
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「おはよ、ゆえ」
「ようちゃん、おはよー……」
天気悪いね……とようちゃんは私の心を汲み取ったのか、そう言ってきた。
「でもゆえがそんなんじゃ、吹き飛ばせる雲も吹き飛ばせないんじゃない?」
大丈夫だよ、とようちゃんは私に笑いかけた。
不思議と締め付けられていた心がスルスルとほどけていくような、そんな気がしたのだ。
天気はそのあとも、悪化もせず回復もせず──。
そのまま体育祭がスタートした。
1年女子の100mに私は参加する。
「頑張ろ!」
バレー部の1年生はみんなこの種目に参加する。
紅白はバラバラでも、個人でそれぞれ3位以内に入賞するという目標がある。
私のレースは、足が速い人がかなり集まっていて今まで最高でも4位にしかなったことがない。
……本番の今日こそは1位になれるだろうか。
線につま先を手を合わせて体勢をとった。
横にいる「よーいドン!」でバン!とやる人が上に手を上げた。
バン!という耳を塞ぎたくなるくらいの大きい音が鳴り、私も周りの子も一斉に走り出した。
──私の周りには誰もいない。
……もしかして、今の1位って私かな?
そんなことを思っていたら、私はゴールテープを切っていた。
「1位」という旗の前に座らせられた。
前の方で、みのりもいぇいとピースを向けてきた。
こんなにも100m走で嬉しいと感じたことはないっていうくらい。
私はとても舞い上がっていた。
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