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コメディ・ライト小説(新)
- Re: 空に輝く二つの月。【オリキャラ超募集中!】 ( No.41 )
- 日時: 2016/12/25 17:31
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
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そんな会話をして、しばらく経ってから──星は恐ろしく小貫に絡みに行くようになった。
「なー、小貫さーん」
「……何?」
あぁ、またこいつか──とでも言いたげな目つきを星に向ける。
……多分俺も小貫と同じ立場だったら、同じ目つきをしていたと思う。
「次って移動教室ー?」
「そのくらい自分で分かるでしょ。なんでわざわざ私に聞くの……?」
「いやー、なんとなく」
「なんとなくって、数学で移動教室なんて滅多にないでしょう……?」
あぁ、やっぱこいつ理解できない──とでも言いたげな溜息を小貫は吐いた。
でも、俺は思う。
──ちょっと小貫は鈍感だ……。
普段凄く鈍感な井筒さえも、俺に「高天ってようちゃんのこと好きなのー?」と聞いてきたんだ……自分のこと以外は結構鋭いって井筒が言っていたけど、それはこういうところを言っているんだな──。
けして口は出さずとも、心で俺は強く──強く確信した。
「ありがとー」
……そう言って、小貫の前を立ち去って俺にガッツポーズしてくる星もどうかしている。
時間が近づき、星も俺も席に着いた。
──いつも何も考えていなさそうな星の小貫に対する、強い……本気の眼差しを俺は後ろから見ていた。
自分のことじゃない。
初めてと言っても過言ではない──初めて他人のことを応援したくなった。
……俺にはまだ分からない感覚──「恋心」を抱いた星を。
そう思った時、先生が教室に入ってきて授業が始まった。
──ふと顔を上げて、視線を机から前に移した時……右斜め前に井筒の姿が入った。
──なんだろう。この気持ちは……──。
答えはまだ、見つからないような気がした。
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