コメディ・ライト小説(新)

Re: 空に輝く二つの月。【オリキャラ超募集中!】 ( No.49 )
日時: 2017/01/16 21:00
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

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……最近本当にピタっと嫌がらせなくなったなぁ。
もしかして立花さん達も私に飽きたのかな。──そう思って立花さん達の方を振り向こうとしたが、体がそれを拒否……怖がっていた。

「ねぇねぇ、ゆいくん蕾のヘアピンどう思う〜?」
私は途端にバっと振り返った。
──あぁ、なるほど。立花さんの興味は私なんかよりもあの美作くんの方へ向いたんだね……。

私の前などで見せる顔とは全くの別人のような顔だな……あぁいう顔もするんだ、立花さんって。

私はただ美作くんと立花さんのやり取りを離れたところから見つめていた。

……そういえばゆえちゃんはどうしたんだろう。
あと少しで授業前だと言うのにまだ席に戻ってきていない……。体の向きを変えて辺りと一通り見回すがゆえちゃんの姿らしき形は見当たらない……。

「ねぇねぇ美作」
もしやその声は、と思い再び声のする方……さっきの立花さんの方へ顔をやると案の定──ゆえちゃんが美作くんに話しかけていた。

いつも通りの光景で、あと少しで授業が始まるがとりあえずどこにいるのか分かったという安心感に包まれてホッと一息ついた。


その気持ちを吹き飛ばすような言葉が飛ばされるまでは……──。

「ん? なんだよ」
美作くんの声が後ろで聞こえる。
──私はそんなクラスメートの声を聞き流しながらちぎり取られていないノートのページを優しくなでた。

「あとで先生が職員室まで来いって言ってた」
「まじかよ……」
「美作、なにかやったの?」
「──別に。知らねーし」
またまたー、なんていう声が聞こえる。ゆえちゃんと美作くんだ……。

私は全く集中していないけれど、とりあえず顔をノートから離すことはなかった。

「ねぇ、ゆえさん」
え?──私は振り向いた。
私以外の何人かの人もそっちに視線をやっている。

「あんまり、ゆいくんにベタベタくっつかないでくれる?」
とゆえちゃんに向かって立花さんはそう言った。

さっきの美作くんに対する声とは違う……私に対する声の方が近いだろう。

「あっ、ごめん! そういうつもりじゃ……」
慌てて立花さんに謝るゆえちゃん──先生からの伝言を伝えただけなのだから、そんなことで「くっついてる」なんていう立花さんが理不尽だとは思うけれど……。


そして、とどめを刺すような一言を立花さんはゆえちゃんに放った。

「──あぁ、アンタみたいなのがゆいくんの周りにウロウロしてちゃゆいくんが可哀想でしょ?」

その言葉には流石のゆえちゃんも驚きを隠せない、と言った表情を浮かべていた。

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Re: 空に輝く二つの月。【コメント募集中!】 ( No.50 )
日時: 2017/01/27 17:58
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

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そんな言い方……!!──今の言葉は酷すぎる。
これから先の自分の学校生活なんて捨ててしまっても構わないから、立花さんに一言言ってしまいたい、と思い私は立ち上がった。

でもそれと同時に、ゆえちゃんは
「え、美作そんな風に思ってたの? なんかごめん」
「え? あー、俺はそんな風に思ってないし。むしろ……」
こっちの方が──とでも言いたそうに立花さんの方を見た。

そんな事とは思っていないのか(私の推測だし、美作くんの思ってる事じゃないかもしれないけれど)、立花さんは嬉しそうな顔をしてニコニコとしていた。


──美作くんも、言葉を飲み込む必要は無いのに。
男子なんだからずばっと言ってしまえばいいのに……でもやっぱり男子だからという理由で自分の出来やしないことを勝手に押し付けてあれこれ言うのは間違っている。

私は反省した。

「ん? そこどうしたんだ?」
ドアが開いて、担当の先生がやってくる。

いつも通りの雰囲気だが、クラスの異常を感じているのか顔は引き締まっていて少しだけ怖い……。

私は立ち上がっていた体勢をやめて席に座った。

「あ、すみません! ちょっとー、宿題を美作くんに教わっててー」
立花さんが作り笑顔でそういう。

「そう、です! 私も教えてもらってました」
「俺、教えてました」
無理矢理感満載の二人の発言に、もしかしたら嘘とバレるかもしれないと思いながら、先生の様子を伺っていると……

「そうか。ちゃんと時間は確認するんだぞ」

……で終わった。
すみませんでした、と3人は謝って席に着き──ゆえちゃんがこっちに来た。


全部を見ていた私は何からゆえちゃんに声をかけようか迷っていたら、それを察したのかゆえちゃんは私に向かって笑った。

「大丈夫だった」
と小声で私に囁く。──それが少しだけくすぐったくて……

「うん。良かった」
と同じように囁いた。

ゆえちゃんの言った「大丈夫」はどんな大丈夫なのか私には分からない。


でもいつかは、無理しないでなんでも言える……そんな間柄になりたいと思っている。

ゆえちゃんもそう思ってくれてたらいいなぁ──……。

そう思って、私はシャーペンをギュッと握りしめた。


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