コメディ・ライト小説(新)
- Re: 空に輝く二つの月。【コメント募集中!】 ( No.59 )
- 日時: 2017/02/07 22:53
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
~part3 高天星~
──俺の周りには、鈍感な人が多いと思う。
ゆいだって、井筒さんが好きなのに分かってない……──あんなにあからさまな態度なゆいに気づかない井筒さんもこれまた、鈍感だ……。
そして、その上を行く鈍感さの持ち主──小貫さんを好きになってしまった俺も、もしかしたら俗に言う鈍感な人なのかもしれない。
……別に皆の悪口を並べたかったんじゃないけど──。
ただなんだかもう少し、自分の気持ちに気づけば良いのにって思った。
「──星本気かよ?」
この言葉に、ゆいのこの言葉に俺は今それを強く感じたのだ。
「本気かよ、って……本気じゃない方がおかしいと思う」
人でも何でも、好きになる事に「本気」とか「そうじゃない」なんていう考えを持ったことがない俺にはゆいの言葉が理解出来ずに、根本的に否定を示す言い方をしてしまった。
多分まだ出会ったばかりの俺とゆい──。
何となく親しい関係、って言うのが今の状態にぴったり当てはまる言葉だと思う。
まだゆいは俺のこういう……言葉に出さないでネチネチ考えるところとかを知らない。
俺も、考えてみれば何も知らない。
「美作月さんについて、何か知っていることを教えてください」って今誰かに聞かれたら、なんて答えようか……なんて思ってしまうだろう。
そして考えても何も思い浮かばない──絶望、になるだろう……。
ゆいと一旦別れて席に座る。
──そういえば、ついこの前井筒さんと一緒に着席が遅いと注意を受けてからゆいはそれを改善し始めたらしい。
2人は知らないと思うが、その時誰かが「美作くんと井筒さんってよく話してるよね」なんていう話をしていた。
もう誰かほかの人にそう噂されるくらいなのに、お互いに気づいていないなんて……。
誰かが間に入った方が良いのだろうか──、そしてその間に入るのは俺なのだろうか。
ゆい、井筒さん、そして小貫さん……。
ゆいと井筒さんはよく話す仲。そして井筒さんと小貫さんは幼馴染らしい。
俺は自分のために……そして不器用な友人のお互いの気持ちを気づかせる、という役目を自ら自分に課した。
もう一つだけ──。
俺は多分、器用じゃない。
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