コメディ・ライト小説(新)

Re: 空に輝く二つの月。【コメント募集中!】 ( No.93 )
日時: 2017/04/17 23:56
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

*第三章 「繋ぐスポーツ、繋がる関係」

──仮入部期間が終了して私とようちゃん、高階さんはバレー部に入部した。

私達の他にも入部する1年生がいるようで、コートに入れる6人を上回る12人が私達の代のバレー部部員だ。

「この人数だとレギュラー争い有りそうだね」
「……私入れなさそう」
早くも弱気なようちゃんに私は、肩を叩いて「諦めないで!」と言った。

「絶対負けない……」
反対側の隣にいる高階さんはそう力強く言う──と、我に返ったようで私のからの視線を感じたのか、ハッとした表情を浮かべた。

「大丈夫だよ。高階さんなら!」
「油断するどのスポーツもダメなことでしょ。それと私も井筒さんって呼んでたけどそういうのやめよう。これからはゆえって呼ぶから」
あまりにも面と向かって言う高階さんに私は圧倒される。

ほら、コートに入った時とかに変じゃない?と高階さん──ふうちゃんは小声で付け足した。


まだバレー部の仲間になった12人の人達と話したことはないけれど、友達関係などもプレーに影響を与えるというし、関わりを持つことから始めてみようか。



──『繋ぐバレー、繋がる関係』

これは、我が校の横断幕に書いてある言葉だ。

この言葉のように、バレーを通してたくさんの人と繋がりたい。


……誰よりも強くなりたい。


**

第三章はバレーメインになります。
プロローグみたいなものなので、短めです←

Re: 空に輝く二つの月。【コメント募集中!】 ( No.94 )
日時: 2017/05/11 20:02
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

*

「午後からバスケ部来ちゃうから1年生モップがけ急いで!」
部長の先輩──七瀬先輩が私達に指示を出した。

春大までの残り日数が少ないこの時期は、引退を目前に控えている3年生の先輩達が最もピリピリする時期なんだとか(2年生の先輩より)。

土日練習も含めて、週6、7普通に部活が入っている。

──何か予定を立てる時も、何かと部活中心に考えることが多くなりそうだ。

「ゆえ、モップ行こう」
ようちゃんが私にそう言ってきた。──何かと周りに気配りの出来るようちゃんは同学年どころか先輩からも頼られる存在だ。

「うん!」
体育館倉庫にあるモップをお互い2つずつ持ち、端からダッシュでモップを掛け始めた。

「私達も手伝うよ」
「4人でモップ1本ずつの方が早いし……」

奏帆かほちゃんとみなみちゃんが私達のモップを1本持って脇で一緒にモップがけをする。

「ありがとう」
「うん」

喋りながらだと手が止まってしまう。
──何か急ぐなら、口を閉じて作業をする……先輩によく言われる言葉だ。


まだ部活に入ったばかりの私は大体がボール拾いだが、それでも先輩の練習の支えになれるように頑張りたい。


*

「そういえば、ふうは春大の選手に選ばれそうだよね」
帰り道、ふうこと高階さんとようちゃんと私とで部活のことで話していた。

「いやまだ分かんないよ。やっぱり実際練習キツイし、全然私なんて追いつけてない」
「それでも1年生の中では断トツだよ!」
「……そりゃ絶対負けられないからね」

再び目にする、ふうの真剣な横顔。

……バレーに対しての気持ちの強さが私達とは全然違うということを感じる。

「ゆえとようはどうなの?……それにようは先輩から信頼も強そうだし」
「え!?……ないない! 色々先輩から話しかけられることあるけど、きっと私が何かと迷惑ばっか掛けてるからだよ」

出た。たまに発動されるようちゃんの鈍感警報──。

「私もそう思う」
「え!? ゆえもふうも何言ってんのー! そんなわけないじゃん」
明るく笑うようちゃんに私もふうちゃんも苦笑した。

「そういえばさ、もう1人いるよね……1年生にバレー経験者の子」
急にそんなことを言い出したふうちゃんに、私もようちゃんも驚きつつ頷いた。

実里みのりちゃん……だったけ」
ふうちゃんが頷いた。

「私あの子に負けたくない」
「……そんなに敵意しなくても──」
良いんじゃない、というようちゃんの言葉に被せてふうちゃんは「いずれライバルになる相手だから今のうちにね」と少し不気味に笑った。

まだ私には、誰々がライバル……とか考えられないのだ。


*

*奥田七瀬(おくだ ななせ)
中3でバレー部の部長。
責任感が強く、チームの要。
先生やチームメイト、後輩からも「七瀬先輩」と慕われているが、本人は何かと1人で抱え込む癖がある。

*湊奏帆(みなと かほ)
バレー部所属。ゆえ達と同学年。
背が低いことに、本人は悩んでいる。
姉と兄がいて、末っ子。

*麻生南(あそう みなみ)
奏帆と一緒にいる。幼馴染。
楓夏に続いて背が高い。
優しい。温和な性格。

*桑原実里(くわばら みのり)
楓夏と同じバレー経験者。
プライドが高く、少々キツイ言葉をいう時がある。
なかなか素直になれていない。