コメディ・ライト小説(新)

Re: 枝垂れ桜-想い-[コメ・オリキャラ募集中☆*] ( No.19 )
日時: 2017/01/31 23:08
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)






全員が集まり、広報委員会担当と思われる教師が入ってきた。女教師……町野まちの先生。

「じゃあ皆、空いてる席に座って~。活動始めますよー」
中々ゆるい教師が担当で、私は少し嬉しくなった。


「1年生は、先輩たちの名前が分からないと思うので……自己紹介しましょうか~」

教師の言葉に、「えー」という小さな声が聞こえる。
すると3年生の女子生徒がいきなり立って、

田中明里たなかあかりです。1年生、2年生の皆、よろしく。皆、自己紹介してください」

田中先輩が言ったのを聞いて、3年生が次々と立ち始めた。それにつられて、2年生も立ち始めたので――私もそれに合わせてすごすごと立つ。

私は3年生や、私以外の2年生が自己紹介をするのをボーッと突っ立って聞いていた。
すると近くの2年生の子から「次お願い」と囁かれたので、

「奥田ここのです。皆さん、よろしくお願いします」
愛想もなく、淡々と自己紹介をした。
すると次に言った――男子生徒が、




神楽夏弥かぐらなつや。よろしくお願いしまーす」



神楽……夏弥?
それって、もしかして、もしかして……――。

Re: 枝垂れ桜-想い-[コメ・オリキャラ募集中☆*] ( No.20 )
日時: 2017/02/01 18:26
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)






双葉ふたば彩芽あやめです。よろしくお願いします」

私は次々と言われる名前にも全く耳を傾けず、「神楽夏弥」…その名前について考えていた。何だろう、どこかで聞いたような聞いていないような名前なのだ。さっきから頭の中に何かがひっかかったような感じで、もやもやする。



私が考えている間にも、自己紹介はスムーズに進んでいって短時間で終わったみたいで、町野先生が全員を見渡した後、

「じゃあ今日は、部長と副部長を決めて終わりだから。部長は3年生から、副部長は2年生から出てください。じゃ、あとはよろしくね」
そう投げやりに言って、先生は教室を出た。
……決めるところは見ないのか。私はそう思わず突っ込みそうになったが、奥歯を噛みしめて止めておいた。


「えっと、皆」

無意識に入れていた力が急に抜ける。
さっきの……田中先輩が前に出て、真剣な目で皆を見ていた。


「部長、やりたいです。異義はありますか?」

……そう言われても、今日知り合ったばかりだから分からない。
他の3年生女子――おそらく友達なんだろう。その人が「いいと思うよ~」と言ったので、

「じゃあとりあえず、私が部長とみなして話を進めます。それでは…2年生から、副部長の希望はありますか?」


田中先輩が2年生が固まっている方を向いていった。けれど、誰も手を挙げる雰囲気はない――。


副部長か。

どうせ誰もやらないのなら、やっても良いかな…良い印象を抱いてくれるかもしれないし。


私はそう思って、静かに、でも真っ直ぐと挙手した。

それに気付いた田中先輩は私に向かって微笑んで、

「それじゃ、奥田さん…奥田ここのさんが副部長、異義はありませんか?」

2年生数人が「いいと思います」と言ってくれた。
……多分、私の印象は悪くない方向に向かったと思う。今の一言で少し自信がついた。

「では部長は私――田中明里。副部長は、2年生の奥田ここのさんに決定しました。皆さん、よろしくお願いします!」
と、部長が頭を下げる。それにつられて私も「よろしくお願いします」と言って、軽く頭を下げた――。


/


「奥田さん。副部長、よろしくね」

部長が私に微笑んで、それだけ言った。はい、と聞こえるように返事をして、私は視聴覚室の隅に置いた鞄を取ろうとする。



「なぁ」


不意に声をかけられて、私は持ちかけていた鞄を落としてしまった。小さく悲鳴を上げた後、ゆっくりと振り向く。

すると、私の前には――神楽夏弥が居た。



「――俺のこと分かる?」



と、口元を緩めながら神楽夏弥は言った――。

Re: 枝垂れ桜-想い-[コメ・オリキャラ募集中☆*] ( No.21 )
日時: 2017/02/01 21:19
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)






「俺のこと分かる?」――という文脈から見て、多分私はこの男にあったことがあることに確信を持った。
誰だっけ、ともう一度神楽夏弥の顔を見る。


『なつ、お前スポーツは全然駄目だよな』

『お前のその勉強できる能力だけ欲しいわ』


顔を見ると、少しだけ分かった気がした。

この男は、私の幼馴染みだ。多分、小学校からだろう。
見覚えのある青が入ったような黒髪、この男の特徴とも取れる薄い紫色の目。
ぱっと見、身長も少し小さめで髪も長めだから、「高身長の女子」ともとれる男……。


『なつ、なんで泣いてんだよ』


そうか。こいつ、中学の卒業式でぼろぼろ泣いてたやつだ。

声まで上げて泣いてたやつだ。


私が泣き顔を見て笑ったら、突然涙を拭って人懐っこい笑みを私に向け――その後ずっと笑っていたことを思い出した。

中学校の卒業式の記憶が私の頭の中で蘇る。そこには、今目の前にいるやつと完全に見た目が変わらない……長めの髪で、青が入った黒髪。




「なつ」。私の記憶に出てくる名前…。

「神楽夏弥」の「なつ」だと見たら、私のもやもやもすっきり取れた。




「……なつ?」

「…思い出してくれた?」



卒業式の時のような人懐っこい笑みを私に向ける。

それを見た後、私もかすかに笑った。