コメディ・ライト小説(新)

Re: キミの隣に。『コメント募集中!!』 ( No.102 )
日時: 2017/05/27 09:49
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

~





青石くんの好きな人って……誰なんだろう?
ゆかちゃんじゃないのなら……


八谷さん、なのかな。


八谷さんと一番仲良さそうに見えるのは、きっと私の気のせいではないんだろう。幼馴染の関係は、どうやっても崩すことができない。
少し前、私よりもっと仲の良い姿を見せられたから――。



「なあ、黒崎」

誰かに苗字を呼ばれる。
聞き覚えのある、低めの声――…


「青石、くん……?」
「何ボーっとしてんだよー?下書き、まだ終わってないんだろ?」
「え…あ、うん……」

いつの間にか、私の隣から姿を消したゆかちゃんに少し疑問を抱きながら、たどたどしく返事する。
多分、変に思われてるんだろうな――。


「……最近さ、何か悩んでんの?」


突然降りかけられたそんな言葉に、私はえ?と間抜けた声が出てしまった。
その言葉に青石くんはふっと笑ったような気がしたけれど、「悩み」を真剣に考える私の耳には届かない。

悩み……


(青石くんのことだっては、言えないよね)

……そう。悩みなんて、多分あるとしたら青石くんのことだけ。
青石くんが亡くなって、トリップして、一緒に話して。

もう、あと……3週間しか、ないんだよ?


「……」

青石くんは何か言いかけたけれど、私が言葉をまとめるまで待ってくれているようだった。

……そんな期待されても、何も言えないよ。


「別に、悩みなんて…ないよ…?」

これ以上、人に心配を掛けたくない――そう心では思っていても、やっぱり震え声になる。
それでも、精一杯の笑顔で応じたつもりだ。


「………黒崎ってさ、中1の頃からそうだよな」
「――え?」

突然、中1の話題を切り出されて、また間抜けな声が出た。

「そうやってさ、何か言いたいってことは分かるのに何言いたいのか分からないの。表情で悟れないって言うか、……人を、頼ってくれないって言うか?黒崎が仲良い森川とか、水山とか、光崎とか。あいつらにも頼らないで自分で何とかしようとするだろ?」



……正直、青石くんはそう、私のことを見ていたのかと唖然だった。
表情で悟れない。人を頼ってくれない……。

確かに、私は人に心配を掛けたくないと心の中で押しとどめることが何回もあった。人に頼らずに自分で何とかしよう、という気持ちは常にあったと思う。


――そうやって、改めて言われると。


胸の奥に、針のようなものが何本も刺さった、そんな気持ちになる。



「……」

何も言わない――何も言えない私に、青石くんは少しだけ考え込み――




「俺は、頼ってくれた方が……嬉しいから」


歯切れは悪かったけれど、青石くんはゆっくりとそんな言葉を紡いでいた。


そして、私の頭に軽く手を乗せ――作業へと戻っていった。







頼ってくれた方が、嬉しい。

そんな言葉を、かけてくれる人がいるなんて。



青石くんは……どうして私にそんな言葉を掛けるんだろう?
…私みたいな目立たない存在を、どうしてそんなに気に掛けるの?



疑問は浮かんでくるけれど、

私は少し――すっきりとした気持ちだった。





――今日は11月6日。あと、19日間。……