コメディ・ライト小説(新)

Re: キミの隣に。『コメント募集中!!』 ( No.104 )
日時: 2018/01/02 11:31
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

episode16.「Enjoy the utmost」







「ねぇ、―――くん……本当に、居なくなるの……?」



星降る夜空のもと、私は誰かにそう問いかけている。


「そうみたい、だな」


誰かは、私の問いに肯定している。

その瞬間、涙が――溢れた。



○**○**○**○



チリリリ、と目覚まし音が私の部屋に鳴り響く。
目を開けると、星空なんてない。私の部屋。

「夢……?」

何だか、リアルな夢を見ていたのか。はたまた寝ぼけていただけなのか。
少しだけ不安な気持ちを募らせながら、朝ご飯を食べて……



「行ってきます」

静かにドアを開け、少し進んだ後、ドアが閉まる音を背中で聞いていた。







しばらく歩くと。

「おはよ!芽衣ちゃん」

途中で咲恵ちゃんに出会い、2人で登校した。


『人を頼ってくれないって言うか……』

昨日の、青石くんの言葉を思い出す。
もしかしたら、咲恵ちゃんも同じことを思っているのだろうか。


秋風が私の髪を撫でる。
一呼吸置いて。



「咲恵ちゃんってさ、私のこと……分かりにくい、とか思ってる?」


多分、答えにくいだろう。
私がゆかちゃんに「青石くんのこと好きなの?」と聞いたときと同じような顔を咲恵ちゃんもしていた。

「……ん……」

目線をそらしながら、咲恵ちゃんは真剣に考えてくれた。


「本当のことを言うと、確かに分かりにくい……かも」

かも、と付けている辺り気遣いかなと思ってしまう。
はっきり言ってくれても良いのに、と苦笑がこぼれた。


「芽衣ちゃんって、割と一人で何でもしようってする感じだよね?私正直、芽衣ちゃんに頼られたことなんて一度もない気がする」

青石くんと、主旨は似ている。

やっぱり、皆そう思っているのか――。


「私はでも、そんな芽衣ちゃんと友達になれて良かったと思うよ?だからさ、志望校同じなのもすごく嬉しいんだよ」



中1の時、暗かった私は。

周りに合わせていた私は。


多分、誰かから――友達になれてよかった、なんて言葉……言われると思っていなかったはず。



「……ありがと。昨日……ある人に、私のこと分かりにくいって言われてさ。正直に言ってくれてよかった」

そうなんだ、と。咲恵ちゃんは深追いはしなかった。
それが心地よかった。


この前寒く感じた秋風は、すごく爽やかに感じられた。