コメディ・ライト小説(新)
- Re: キミの隣に。『コメント募集中(。>ω<)ノ』 ( No.109 )
- 日時: 2018/01/02 11:32
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
episode17.「chance」
受験生という雰囲気を感じさせないほどの賑やかな教室。文化祭が近い、ということを身をもって実感できる。
(――結局この時期になっても、アニタのことは分からないままだよなぁ……)
私はアニタについて殆ど知らない。魔界については少しだけ説明を受けているけれど、ずっと昔からあったものらしいから――きっと言葉では説明できないほど深いものだと言うことは分かる。
もちろん魔界には感謝もある。せっかく青石くんと話せる機会をもう一度作ってくれたんだから。それにこうして……青石くんと文化祭がまわれる、そんなチャンスを作ってくれたんだから。
けれどそれ以上に不思議なのは――前にも気になったけれど、私が青石くんのことを好きでもトリップさせてくれるのはおかしい、ということだ。
どうして私だけ、というのは違和感しかない。
「芽衣ちゃん!おはよ~」
「………え?あ、おはよう」
私の考えていることを打ち消すかのような明るい――咲恵ちゃんの声。妙な空白の時間に気付いてなかったらいいけれど。
「もう12日前だよね~」
ふと言われて気付く。そうだった、12日前だ。
……言い換えると。青石くんと一緒にいられるのは……あと13日間だ。
24日は文化祭、25日にいなくなるんだから。
――でも逆に言えば。あと13日間も一緒にいられる。
せっかく今回は青石くんとまわれるんだから。
「―――芽衣ちゃん、なんだか嬉しそう」
何か考え事をしていそうな私の顔を見て咲恵ちゃんがそう言った。
「……えっ!?いや、まぁ……文化祭だし?」
いくら私が本心を言わない、そんな性格でも……私の気持ちを知らないであろう咲恵ちゃんには言えなかった。
青石くんとまわれるから嬉しい――なんて。
そんなこんなで、私と咲恵ちゃんが話していると。
「あ、芽衣!に咲恵ちゃん!やっほ~」
「おはよ」
向こうから、麻奈とゆかちゃんの声がした。
――私としか話せなかった麻奈は今では本当に明るくなった。
本来の時空……それに戻っても仲良くできるのかな。こことは世界が違うから無理かな――そんなことを考えてしまう。
「「おはよ」」
私と咲恵ちゃんの声が重なる。それを見て私含め4人、全員肩を揺らして笑った――。