コメディ・ライト小説(新)
- Re: キミの隣に。『コメント募集中(。>ω<)ノ』 ( No.118 )
- 日時: 2018/01/02 11:09
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
epilogue**
青石くんが私の目の前から消えた後。悲しがる余裕もなく、私はアニタに本の世界へと転送された。この世界へ来るときに見た濃い青の世界とは異なり、そこは透き通った水色の広がる――未来への希望を表したような世界だった。
失ったものは大きいけれど、得たものも多かったこの冒険。
「では……さようなら、黒崎さん。決してこれを他言しないようにお願いします」
「……うん。ありがと、アニタ」
そこで、私の意識は途切れた。
「――………ふぁ……」
ふと目が覚めると、時計は9時を指していた。部屋に置いてあるデジタル時計には、「12月27日」と書いてある。確か昨日から冬休みだったはず。25日に終業式があったことは何となく覚えている。
私の手には、青石くんを抱きしめたときの感触が残っていた。
「……忘れてない……忘れてないよ」
交わした約束は、これからも絶対に忘れないだろう。
○*
「今日から新学期だねー!」
「うん!何だか楽しみ」
「あれ?芽衣ちゃん、冬休みの間に何かあったの?」
そんなポジティブなことを口に出すなんて珍しいね、と咲恵ちゃんが隣で言った。
「……あったと言えば、あったのかなー」
「何それ~?気になる!」
「芽衣ー!おはよ!」
グッドタイミングで麻奈が来た。
「あ……水山さん、おはよう……」
そっか、こんな性格だっけ。あの世界での雰囲気に慣れすぎて、麻奈の本来の性格を忘れていた。
「……水くさいなぁ。麻奈、咲恵ちゃんのことも名前で呼びなよ」
「え!?……芽衣がそんなこというの珍しいね?」
「なんか、……やっぱり皆仲良い方がいいなぁって」
初めは慣れなかったものの、私、麻奈、咲恵ちゃん、ゆかちゃんのあの4人でいる空間は凄く楽しかった。1からリセットされるならば、またこの友情を私が築けていけば良い。
「……咲恵ちゃん……!良い?」
「もちろん!麻奈ちゃん」
2人は微笑みあっていた。私もつられて嬉しくなる。
「芽衣ちゃん!やっほー」
ゆかちゃんも加わって、私は彼女にも同じことを言った。
「……確かに、この4人って結構楽しそう!よろしくね、咲恵ちゃん、麻奈ちゃん!」
「私、……ゆかちゃん……って結構怖い人だと思ってたんだけど……そんなこと無いんだね」
「失礼!私、結構馴染みやすい性格なんだよ~この見た目でも」
ゆかちゃんについては、色々知った。この世界の私は、本来ではゆかちゃんのことは知らないはずだ。
それならこれから言動に気をつけていけば良い。言ってくれたときはそれはそれでまた考えていけば良い。
青石くんが私を呼んでくれたおかげで、私たちの友情も変わった。
青石くんのおかげで、私も変われた。
「3学期忙しいけど頑張ろうねー!皆一緒で!」
「「「うん!」」」
青石くん……君の隣で過ごした記憶を、私は一生忘れない。
――キミの隣に。fin――