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一通りソプラノの皆が歌い終わった後、アルトが呼ばれた。私も席を立ち、ピアノの前へと寄っていく。

「アルトはソプラノを支えるパートです。この曲のアルトは結構難しい構成になっていますが――合わさるととても綺麗なので頑張ってください！では、歌いますね」


また先生の歌声が響く。さっき聴いた曲と同じなのに、どこか違う雰囲気。
そんな音色を私は耳を澄ませて聞いていた―――。



○･●☆:*◇



「では今日はここまで。今日歌った1番の歌詞、次の授業までに覚えておいてください。…じゃあ」

先生がちらりと学級長の方を向いた後、音楽室に号令の声が響いた。
その後、皆で礼をして解散する。




「中々良い曲だよね」
「だよね、ちょっと恋愛系みたいな感じで」

教室までの廊下を麻奈と歩く。今の廊下には愚痴は全く飛び交わず、「良い曲だったね」「早くまた歌いたいな」という声が。
私たちもその中に入っているけれど。



「次、体育だよねー」
「うん。……そっか、麻奈は体育苦手だよね」
「そうだよー…地獄だよ体育とか」


――そんな他愛ない話をしていると、後ろから誰かが走ってきて……私たちの横に立った。


「あのさ、次って体育だっけ？」

……どうして私に聞いたんだろう、――青石くん？


私は聞かれているのにすぐには答えられず……なぜか考え込んでいた。
麻奈に腕を小突かれてはっとする。


「あ、うん……」
「そっか体育かー楽しみ」


そう言って青石くんは颯爽と駆けていった。


「……いいね、楽しみとか思えて」
麻奈がぼそっと呟く。私はかなり落ち込んでいる麻奈の様子を見て頬をゆるませそうだったけれど、本気で体育が嫌いみたいなので咳払いをして止めておいた。