コメディ・ライト小説(新)
- Re: キミの隣に。『コメント募集中!!』 ( No.54 )
- 日時: 2017/03/20 22:54
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
episode9.「Cultural festival」
翌日の朝、私は心底びくびくと震えながらドアを開けた。
……どうやら今日は青石くんと八谷さんは話していないようだ。昨日と同じような安堵のため息をつく。
「あぁ、芽衣おはよ~」
「……おはよ、麻奈」
麻奈がいつも通り明るく挨拶してくれる。
「あ、そういえば今日文化祭の決めごとあるんだよねー?まだだいぶ先だけど」
麻奈の言葉で思い出す。……そういえば昨日、HRで言っていた気がする。
文化祭は……――青石くんと過ごした最後の思い出だった。
文化祭の翌日、青石くんは―――
「おはよー黒崎、ちょっと通して」
気付くと後ろには少し微笑んだ青石くんが立っていた。
……直視できない。もしかしたら聞こえていないかもしれないけれど、私は小さく返事をし、横にずれる。
そうすると彼は肩をすぼめて自分の席へと鞄を置きに行った。
文化祭で実施する店は、「本来の時空の過去」で行ったものと同じなんだろうか。
不安と期待が入り交じった気持ちが私の中を交錯した――。
――
……短い!(
- Re: キミの隣に。『コメント募集中!!』 ( No.55 )
- 日時: 2017/03/22 14:52
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
~
『……じゃあ、射的は?』
『じゃー俺らのクラスは射的にしまーす』
……果たして、本当に射的になるのか。
1時間目、特活の時間。「本来の時空」と同じように、文化祭実行委員の3人のうち、リーダーと副リーダー――滝沢くん、米原さんが前に出た。
米原さんはチョークを持っている。多分、黒板に決定事項を書いていくんだろう。
「じゃ、文化祭は展示にするか……店開くか、意見どーぞー」
滝沢くん、こんな適当な人だっけ。特定の人以外との関わりを持たない私はあまり彼についての記憶がない。
「誰も挙手しねーのかよー…じゃ、多数決で。展示にするか店開くか。じゃー展示」
さっきまで誰も手を挙げなかったけれど、さすがに多数決となっては手を挙げないといつまでも決まらない。数人が手を挙げる。
「んー、……7人か。じゃあ出店」
やっぱこっちの方が楽しいだろーとやんちゃ系の男子が叫ぶ。
展示よりかは出店の方が……と比較的静かな女子が囁いている。
「おっけー出店15人。クラス全員挙手してねーけどこれでいいよな?」
その問いに、皆はいいよーとかそれで行こうとか、肯定の言葉を口に出していた。……出店か。ここまでは同じ、かな。
「じゃあ出店に決まりで。何にする?飲食系禁止だと思うけど」
「くじとかー当てものとかー―――」
「一つずつ言えよ!てか夏祭りかよ!!」
「えーいいじゃん滝沢~どうせすぐには決まらないからアイディアアイディア」
クラスから笑い声が絶えない。
「……あの、ちゃんと決めてくれないかな」
――もう一人の実行委員、米原さんが言うとすぐに黙った。
米原さんは成績優秀でスポーツも出来る模範的生徒。そして、口論に強い。逆らったら何を言われるか分からないとか、よく噂されている正義感の強い女子。
副学級長も務めていて、周りのことにあまり関心がない私も覚えたくらい、目立つ子だ。
でも別に友人関係は良さそうだ。普段はそこまで厳しくない。
「……じゃあ、射的は?」
急に、茶髪の巻き髪の女の子―――咲恵ちゃんが発した言葉は沈黙を破った。
「射的いいね!」
「そうしようよ~」
「楽しそう」
……そういえば、本来の時空でも……咲恵ちゃんが言っていた。
こんな大きな出来事は、多分変わらないんだ。
文化祭の翌日の、出来事も――…。
「じゃー俺らのクラスは射的にしまーす」
そう滝沢くんは言い、米原さんは黒板に書いていった。
――過去は変えられない。
そのことを改めて知った日だった。
―――
~実行委員のフルネーム~
米原明里
滝沢聖太
今日はひっっっっっっっっさしぶりに1000字超えました。(笑)
- Re: キミの隣に。『コメント募集中!!』 ( No.56 )
- 日時: 2017/03/22 22:52
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
~
――私がこの世界へトリップする前の日付は12月25日のクリスマス。
今この世界は10月2日……文化祭は、11月24日。
青石くんが亡くなったのは、その翌日25日……。
その25日の過去は、どう足掻いても変えられないもの。
……そうじゃなきゃいいのに……。
思いの強さの分は、私にとっての悲しみだ。
未来への。すでに分かっている、未来への。
この文化祭は、青石くんと楽しむことの出来る最後の行事。これが終わった後、私は本来に時空に戻る。
最後の行事を純粋に楽しむことが出来るの――そんな疑問をぶつけられたらきっと私は答えられない。
本来の時空の私――は、青石くんが亡くなることも知らずに暢気に楽しんでいた。
けれど、今回はそうはいかない。
そんなこと当たり前だ。
その翌日に自分の好きな人が亡くなるという運命が待っているのだから。
○*
「なんか暗いな」
突如声を掛けられた。
……知らず知らずのうちに特活は終わっていて、号令は無しで解散だったらしい。
声の主をチラリと見ると、……青石くんだった。
「なんかあった?」
……主に暗いのは貴方のせいです。
心の中ではそう突っ込みを入れるが、そう言っても理解されるはずがない。
「……ちょっと、疲れただけ」
嘘を吐く。
でも、「なにもないよ」と言わない辺りはっきりとした自覚はないが何か会話を続けて欲しい――という欲望が込められているんだと思う。
「そっか。まぁストレス溜めるなよ」
そう言い残し、去っていく。
「……黒崎も……――のか」
去り際に、彼が何か発したということだけ分かった。
私も――?
―――
不可解な青石の言葉……忘れないで回収できるようにしたいです。
ちなみに音楽発表会はこれから2週間後。10月17日くらいという設定で……。
- Re: キミの隣に。『コメント募集中!!』 ( No.57 )
- 日時: 2017/03/24 13:58
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
~
「……ただいま」
「おかえりなさいませ。……元気なさそうですね」
まぁね、と返す。黒髪の小さな少女――アニタと話していると、何もかもが見透かされている気がして……何でも話してしまう。
私が苦笑いしていると、唐突に彼女は、
「そろそろ青石さんに思い、伝えてみてはどうですか?」
そう、静かに言った。その口調に反論の余地もなく――私はただ目をぱちぱちとさせるしかなかった。
しばらくして、私は我に返る。
おそらくどう足掻いても、「11月25日に青石悠人が亡くなる」という【過去】は変えられない。……無責任なことを言わないで欲しい、というのが本心だった。
私は率直に伝える。
「私の気も知らないで……無責任なこと言わないで」
少し言い方がきつかったけれど、これが本心だ。
突如、アニタは寂しそうな顔をした。……何か、本心を隠しているような……そんな顔。
私はさすがに言い方がきつすぎたと自覚し、
「……ごめん、ちょっと言い過ぎた……」
と俯きながら言った。でもアニタの表情は変化しなかった。
どうしたの、と問おうとしたけれど、喉に詰まって出てこなかった。どうしてそんな顔をするの――?心の中でしか言えない。
しばらく沈黙が続く。
「いえ。私も無茶なこと言ってしまってすみません」
アニタが唐突に口を開いた。私は首を振って否定する。
――また、沈黙が流れた。
○*
そのまま、2週間が過ぎた。
今日は音楽発表会の日。
――
最終話に近くなるにつれて長い話書こうと思っているので、急に日付飛んでしまうのはご了承を…汗
1日ずつ書こうと思っていたのですがちょっと変更します。