コメディ・ライト小説(新)

Re: キミの隣に。『コメント募集中!!』 ( No.58 )
日時: 2017/03/24 14:36
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

episode10.「Music recital」






この田舎に……結構沢山の地域の人が、無駄に広い体育館に集まった。

2週間。今日は音楽発表会だ。午後から授業あるらしいけれど。
無駄に広い体育館に並べられた無駄に多い椅子はほぼ埋まっていることを入場してから知り、心底驚いた。

私たち生徒の声、観客である地域の人たちの声、マイクテストをしている視界の立場である先生の声……始まる前で騒がしい体育館に、マイクテストが終わった司会の先生の声が響く。

「それでは、開始5分前です」

今は8時55分。

その声で館内は静寂に包まれる。



「では、只今より音楽発表会を始めます。この音楽発表会では鑑賞の能力を高め他人の良いところを見つけられるように―――」

出たよあの先生の長話。早く開催しろよ。
そんな囁き声が男子の方からも女子の方からも聞こえる。私も聞き流すことにしておいた。


「それではまず、1年1組からよろしくお願いします」

何分間話していたんだろうか。時計を見ると9時10分だった。
10分間も話すあの先生何者だろう……そう思いながら1年生が壇上に上がっていく様子を見ていた。


1年1組の女生徒が指揮棒を振ったと同時に、声が館内に響く。



○*



1年1組、2組、2年1組、2組。合唱が終わると、私たち3年生が呼ばれた。

壇上に上がる。




【星空】の少し悲しい雰囲気の伴奏が流れる。


伴奏が終わった後、私たちは歌い出した。

青石くんの低い――テノールの声が私の耳によく届く。
その声を聞きながら、私も一生懸命歌った――



○*



全校生徒に地域の人たちや職員たちから盛大な拍手が送られた。

この音楽発表会には「市の発表会に出場するクラスを決める」みたいな意味は込められておらず、単純に音楽を楽しむためだけに――15年前の卒業生が企画したものだという。




教室に戻り、ボーッと自分の席の近くで突っ立っていると、

「よー。黒崎の歌声聞こえてたよ」

ついさっきドアから入ってきた青石くんに声をかけられた。

「え、嘘っ!?私音程外してたでしょ?」
語尾に(笑)が付くくらいいつもより明るい声で――恥ずかしさを隠して私は問う。


「……いや?すっげぇ上手かったけど」



……気付かれないようにしよう。そう思っていたのに、私は思わず破顔してしまった。
そんな真っ向から褒められるとは思っていなかった……私は「ありがと」と呟きそのまま顔を見られないように午後の授業の準備を始めた。









――

音楽発表会は10月14日という設定です~。
17日くらいと書いてしまいましたが2週間後と作中で触れましたので……汗

ちなみに、episode9・10は水曜日という設定になっています。(10は2週間後のですが)
episode1は火曜日。そこから進んでいってます。




ここから文化祭に向けて書いていきます!
随分短いですが10話は終わりです汗