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episode.11「Overlap」





「じゃー射的に決まったわけだけど、どんな感じにする？」

特活の時間、実行委員の2人が前に出て――皆に意見を求める。

「どんな感じって言われてもねぇ……」
「難しいよなー」
そんなクラスメイトの声が静かな教室の空気でかき消される。


しばらく、沈黙が続いた。


「ねぇ、的を厚紙にしたらどうかな？」


唐突に、咲恵ちゃんが口を開く。
的を厚紙に――？じゃあ景品は的――？

「的は厚紙にして、その厚紙に番号付けておいて。そして景品にも番号を付けておいて、当たった厚紙の番号の景品をプレゼントする！……って感じ」

しばらく咲恵ちゃんの意見を聞いて考え込んでいた私たちから、

それいいね、とかそうしようよ、という囁き声が聞こえた。


「……じゃあ、水山さんの意見で決まりってことでいい？」
「「いいよー」」

全員の声が重なる。


咲恵ちゃん、張り切っているなぁ――そんな彼女の様子をわたしは微笑みながら見ていた。



○*



「咲恵ちゃん、何かやる気だね」
「うん！こういうお祭りごと好きだし。皆が一致団結してるみたいで良いじゃん？」
問われても、と私が戸惑っていると、ゆかちゃんが近くに来た。

「私もこういう行事は結構好きだよー。ま、多少は面倒だけどね！それにしても水山さんってあんなに積極的に意見言うんだ」
「あはっ、意外かな？私結構そういうキャラだよー」
「咲恵ちゃん小学生の時から元気な感じだもんね」

へぇ、とゆかちゃんは声を漏らす。


「まぁ、楽しもうね！」

咲恵ちゃんがそういって私たちが返事した直後にチャイムが鳴った。

私は即座に席に戻り、何事もなかったかのように普通に椅子に腰かけていた。