コメディ・ライト小説(新)
- Re: キミの隣に。『コメント募集中!!&イラスト投稿』 ( No.67 )
- 日時: 2017/03/26 22:40
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
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「――てなわけで、青石のところは看板作り、佐藤のところは厚紙作り、八谷さんのところは景品とか考えるのって役割で、はい解散!」
滝沢くんがやっと言い終わった、と澄み切った顔で号令を掛ける。
なんだか、青石くんと八谷さんが同じ班じゃなくて良かった――と、心底安心している自分が居る。
こうして嫉妬するだけで自分から何も行動できない私も私だけど。
私は看板用の画用紙を取りに行く、と班の皆に伝えて職員室へと向かった。
「失礼します…」
思わず小さくなってしまった私の声に反応した事務の先生がこちらに向かってきて用件を聞く。
「文化祭の準備で画用紙……ください」
「あ、画用紙ね?ちょっと待ってね」
そう言って先生は倉庫のような所へ入り、数枚の画用紙を持って私の前に立った。
「じゃあこれ。気をつけて持っていってね」
「はい。有り難うございました、失礼します」
静かに言い、私は職員室を立ち去る。
○*
「これ、画用紙。ペンはあるよね……?」
「あ、ペンは私持ってるから大丈夫!」
同じ班であるゆかちゃんが私の言葉に返答する。
「男子ら……誰も習字通ってた奴いないよね?このポスター廊下に貼るらしいし私らで書くからー。お店の看板よろしくー」
「何そのさらっと嫌味」
「青石はまだ字綺麗な方だったと思うけどまぁ他の奴らはね」
「……」
実際字が汚いことを理解しているのだろうか、ゆかちゃんの罵りには誰も反論できていなかった。そんな様子に笑いがこみ上げてくる。
……変人だと思われたくないから咳払いで止めておいた。
「じゃ、私らでポスター書こう?芽衣ちゃん」
「あ、うん」
ゆかちゃんの大きな筆箱の中から沢山の色、沢山の種類のペンが出てくる。カラーボールペンやカラーサインペン、ざっと見ただけで15本くらい……。
「……すごいね」
小さな筆箱にシャーペン2つ、消しゴム、赤青緑のボールペン、黄色の蛍光ペン、定規……必要最低限しか入れていない私の筆箱からは想像できないほどのペンの本数で、思わずそんなことを言ってしまった。
「でしょ?毎日重たいよ筆箱だけで」
「……そりゃそうでしょ……」
思わず本音が出てしまうが、ゆかちゃんは笑っている。
でも、こういう行事の時には沢山のペンはとても役に立つ。
私はシャーペンで下書きをして、ゆかちゃんがそれを彼女のペンでなぞり書きしていった。
文化祭の翌日の出来事を分かっていても、やはり楽しい、ということは変わりがなかった――。