コメディ・ライト小説(新)
- Re: キミの隣に。『コメント募集中!!&イラスト投稿』 ( No.72 )
- 日時: 2017/04/15 09:51
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
~
「……今日、青石くん遅いね?」
HRが始まるまであと5分。まだ青石くんの席は空いている。
鞄もかかっていない、筆箱もおいていない――何かあったのだろうか。
いつも元気な青石くんが――まぁ、風邪を引くのは仕方のないことだけど……でも、心の中で嫌な感情が渦巻いていくのを感じた。
「え?青石……?あれ、ほんとだ来てないね」
「……どうしたんだろ……」
「やっぱ心配?」
ゆかちゃんは私の気持ちを知っているから、素直に肯定しておいた。
「……ま、HRで担任が連絡してくれるでしょ。座ろ」
「うん……」
それ以降私は誰とも話さず席に着いた。
○*
「では質問はありませんか?あー……今日、青石くんは遅れてくると言っていました。詳しい用事は伏せると言っていたので少し心配ですが……2時間目までには間に合うと連絡が来ました」
休む理由を伏せても良いのだろうか。
「でも、鼻声のように感じたので多分病院で見てもらうだけでしょう。では、HRを終わります」
『過去』に青石くんが休んだことがあったのだろうか。
正直、いつも来ているイメージ……休んでいたとしても覚えていない。それほど私は何かと彼のことを見ていないのかな?
それとも本当に休んでいないのだろうか。
心配と不安、自己嫌悪の感情が湧いてくる。
- Re: キミの隣に。『コメント募集中!!&イラスト投稿』 ( No.73 )
- 日時: 2017/04/17 18:05
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
~
1時間目の授業終了を告げるチャイムが教室や廊下に鳴り響く。
その音に合わせて皆は起立し、先生に向かって礼をする。
丁度、教室のドアがガララッと音を立てて開いた。
走ったのだろうか。肩で呼吸をしている……青石くんが居た。
「よー青石!」
「あ、おはよー」
クラスメイトの歓迎に青石くんは笑顔で応えている。
……風邪、なんて嘘みたい。
おはよう、と言う声も鼻が詰まったような濁り方はしていなかった。ということは風邪と見せるためだけの作った声?
……何だか今日は、アニタのことと言い不思議なことが多い。
私の席からは遠い席に座る青石くんの姿を、奥歯をかみしめながら見ていた。
○*
家に帰っても謎は深まるばかり。
『もう少ししたら行きます――』
行くって、どこにだろう。
……そもそも。
どうして、「青石くんが亡くなった」のに、アニタは「私の願い」を叶えるために私の家まで来たのか。
まだあり得る範囲内で言うのならば……未練を解決するのは、亡くなった立場の人間のはずだ。亡くなった人間に対する想いを言いたかった、なんて私の我が儘をどうして解消しに来たのだろうか。
『黒崎も……――』
何が、私「も」なんだろう。
……私が今、私だけの秘密にしていることは、こうやって本来の時空から見た過去にトリップしていること、だ。
まさかそれに対して?
このこと――トリップしていることに対して私も、なら………青石くんも、青石くんも……もしかしたら―――。
「トリップ」しているのかな……?
次々と浮かんでくる疑問。段々と繋がる……仮説。
……もしかしたら、アニタが「行く」と言っていたのは……その先は……青石くんの家なのかもしれない。
こんな有り得ない仮説、……合っている可能性はゼロに近いけれど。