コメディ・ライト小説(新)
- Re: キミの隣に。『コメント募集中!!』 ( No.85 )
- 日時: 2017/04/29 17:17
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
番外編続き**
~
セリナは私に話した。
実はセリナ「も」……人間だったとき、いじめられていたということ。私と同じ理由ではないけれど。
そんな生活に嫌気が差して自殺したと言うこと。
そんなセリナには、好きな人が居たと言うこと。
けれど……その好きな人は、セリナが自殺したすぐ後に、その人も自殺してしまったらしい。
後を追って。
つまり、セリナとセリナの好きな人は両思いだったということ。
もう少しでも我慢していれば……幸せに過ごせていた、かもしれないと。
セリナは……好きな人が居たのに自殺して、もう解決できない未練を背負ってしまった私に親近感を覚えたのだという。
……だから、引き取ったと。
『ごめんね、こんな話聞かせて』
『とんでもないです、セリナ。本当に引き取っていただき有り難うございました』
○*
魔界にいる人間は全て……未練を背負ったまま亡くなった人間、だ。
そして、その未練が解決できなかった場合、天国へ引き渡されるか魔界で過ごすか、選べる。
魔界に入った瞬間、年を取らなくなり、見た目も一切変わらなくなる。食事を取らなくても過ごしていくことが出来る。
魔界に来る人間は結構恋愛がらみが多い。
あの人にもう一度会いたい、と。告白したい、と。
でも、私には分かる。
――せめて、好きな人に振り向いて欲しかった――
今では情もなくなってしまったけれど、切実な願い。
人間だった時、私はずっといじめられながら、そう思っていた。
「ん……?」
ふと私は我に返る。
すっかり暗くなった外。黒崎さんの部屋の窓枠に頬杖をついていた。
夜になっても帰ってこない黒崎さんを静かに待ちながら――
私は……一途に想い続ける黒崎さんが羨ましいのかもしれない。
自分は……自分の恋は叶わなかった。だからこそ、人のことを応援してしまう。
セリナのような後悔、私のような苦しみ。
それをもう誰にも味あわせたくない。
「黒崎さん――」
きっと届きますよ、貴方の願いは。
そう密かに心の中で思い、窓の外を見ながら静かに口の端をつり上げた。
――
一切の感情がないように見える(かもしれない)彼女ですが、結構色々とあるんです……(・・*)
それと一応、「夜になっても帰ってこない黒崎さんを待ちながら」という部分はepisode13と繋がっています。
分かりにくいと思いますので補足しておきます。