コメディ・ライト小説(新)
- Re: キミの隣に。『コメント募集中!!』 ( No.92 )
- 日時: 2017/05/05 14:53
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
episode15.「Just looking」
翌日になっても、そのまた翌日になっても。
せっかく吹っ切れた私の気分は落ちていく。
ゆかちゃんが青石くんのことを好きだとしても良いのだけれど……
それ以上に、青石くんがゆかちゃんのことを好きなんじゃないかと思うと怖い。
青石くんは……本来の世界で、亡くなってしまう前も人気者だった。
女子からの告白は全て断っていたらしいけれど、今まで告白された人数は10人くらいとか、そんなリア充な生活を送っていた。
……だから。
ゆかちゃんが青石くんのことを好きになるのも仕方のない――元々仲良かったから、仕方のないことなんだろうけれど。
(やっぱり、嫌……)
さっきの会話。
『別にそっち回ってもいいんだけどな……』
――そう思うのは、ゆかちゃんが居るから?
○*
今日も特活の時間があった。
「ポスター残り32枚だぁ……ま、今日も頑張ろ、芽衣ちゃん」
「……あ、うん……頑張ろう」
しどろもどろに返事した私を見てゆかちゃんは一瞬、
寂しそうな……罪悪感を持っているような、そんな表情になった。
(何でそんな顔……?)
当然疑問は湧くけれど、何事もなかったかのように作業を始めるゆかちゃんにつられて私もポスターの下書きを進めた。
――
明日か明後日、夏休みぶりに友達と遊びます!
ので、更新できないかもです……。
明るくなるかもと言っておきながらシリアスな展開になってしまいすみません。
これから2話か3話ほど、由香里に焦点を当てていくかもです。
- Re: キミの隣に。『コメント募集中!!』 ( No.93 )
- 日時: 2017/05/06 23:06
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
~
「………」
私たちの間では沈黙が続いていた。周りの声がよく聞こえる。
気まずさを覚えるけれど、だからと言って話す気にもなれない……。
私がポスターの下書き、ゆかちゃんがポスターの色付け。
その作業を淡々と進めていく――。
ゆかちゃんは……派手な見た目からか、学年の誰もが知る存在。
それにさりげない優しさも有名で。同級生からも下級生からも先生からも、頼りにされる存在。
そんな彼女がもし青石くんのことを好きならば――私は絶対、勝てない。
この気まずさから解放されたい気持ちと、ゆかちゃんが青石くんを好きなのか――そんなもやもやした気持ちが混ざる。
「ねえ、ゆかちゃん」
気付いたら。
「ゆかちゃんってさ……青石くんのこと、好きだったりする?」
そんなことを、口走ってしまっていた……。
○*
「……え?」
案の定ゆかちゃんは面食らったような顔をしている。こうなることは予想できていたけれど、やっぱり聞かなかった方が良かったかな……という後悔が後から湧いてきた。
慌てて話をそらそうとすると、ゆかちゃんは意外なことに。
「……好き、かな」
少し頬を赤らめながら、目線はあさっての方向に向けていた。
「……う、そ……?」
自分で聞いておきながら何てことを言っているんだろう。
ほんとだよ、と悲しそうに微笑むゆかちゃんを見てそう思った。
「まぁ……別にさ、芽衣ちゃんの恋の邪魔をするつもりではないんだけどさぁ……」
寧ろ、とゆかちゃんは言葉を紡ぐ。
「芽衣ちゃんの恋を応援したい」
ゆかちゃんは真剣な目でそう言った。
「私さぁ、一度ね……友達の好きな人を好きになっちゃって、その子にとって本当に悪いことしちゃって……」
そして彼女は、聞いてくれる?と言って私が頷いたのを見ると、懐かしむ目で窓の外――この中学校から見える、ゆかちゃんが通っていた小学校を見ながら話し始めた。
その小学校で過ごしていた時の過去を。
――
由香里のお話。