コメディ・ライト小説(新)

Re: キミの隣に。『コメント募集中!!』 ( No.95 )
日時: 2017/05/14 21:44
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
参照: ~由香里さいど~

~





小5の時の、思い出したくない思い出。


『え?斉藤のこと……好きになったの?』
『う、うん……あんまり大きな声で言わないでよ』
『ごめんごめん』

中学校では別になったが、七夏ななかというその時の友達が、斉藤さいとうという同クラスの男子を好きになったらしい。

『んで?告白、するの?』
『うーん……何というか……時が来たら?っていうかね……』


(何それ?面倒くさいなあ)

心底、私は七夏にそういう感情を抱いた。

面倒くさいったらありゃしない。遠回しにそういうこと言う輩が私は一番嫌いだ。ストレートに言ってしまえばいいのに、と口には出さないがいつも心の中で思ってしまう。


(それなら、私が斉藤にアピールして……七夏が対抗心を燃やして、告白する流れにすれば良いかもね)

私は、そんな作戦を考えていた。

後々、大失敗に見舞われるとも知らずに……。






○*



『斉藤!ちょっとこれ手伝ってよ』

七夏が居る前で、堂々とそんなことを言ってみた。

『ん?あー、分かった』
『はい、じゃ全部ね』
『はぁ!?それはないでしょ……』

チラリと七夏の方を見ると、明らかに嫉妬していた。

(その心のまま告白しちゃえばいいのに)

七夏の気持ちも知らずに、私はそんなことをのんきに思う。

『七夏、次音楽だよね?行こうよ』
『……ん……』

明らかに嫉妬心を抱いている七夏を心の中で応援するとともに、私の心の中には明らかに今までとは違う……恋の感情が芽生えていった。

Re: キミの隣に。『コメント募集中!!』 ( No.96 )
日時: 2017/05/15 21:18
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
参照: ~由香里さいど~

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『斉藤!』


思えば私は……その感情に気付いたときから、斉藤の前では媚びていたかもしれない。だからそれが、七夏との友情を崩すきっかけになった。

『私の気持ちを知って……!?ひどいよ、由香里ちゃん!?』
『それなら早く告白すればよかったんじゃないの?私は七夏のこと思ってやってるつもりだったんだけ……』
『私のため!?ふざけないで!私は自分で頑張るって決めたの!!由香里ちゃんに言ったのは一番相談しやすいと思ったから言っただけなのに……!私の思いを踏みにじるようなことしないでよ!』


彼女は、『もういいよ、由香里ちゃん――光崎さんなんて、大嫌い』と私を突き放すように言って、それ以来一切話さなくなった。

私はそれで、ようやく自分がやってしまったことに罪悪感を覚えた。本当に……遅かった。七夏は小1からの友達だったから、そんな七夏に突き放されたのはショックだった。
もちろん自分のせいだとは分かっていたけれど――。



「それ以来は、自分が好きになった人を他の人が好きだったなら――応援しようと思ってね。それが……できなかった」

彼女は過去を話し終わってから、ふぅ、とため息をついた。

「ごめん、本当に。芽衣ちゃんの恋の邪魔はしないように、してたんだけど……頑張って、この気持ち抑えるよ」


切なげに微笑む彼女に胸が締め付けられた。

……ゆかちゃんは、悪くない。
過去の教訓を生かして、私にチャンスを与えようと。
私の恋の応援をしようとしてくれているのだ。


「ゆかちゃん。……いや、ライバル?って言うべきかな」

私は知らず知らずのうちに、そんなことを口走っていた。
案の定ゆかちゃんは呆気にとられたような顔をしている。

そんな彼女を見ながら、

「私だって、ゆかちゃんの恋を邪魔するつもりはないよ。寧ろ……そんな気遣いさせたままじゃ嫌だよ!……気持ちに蓋をするのって、私にはよく分からないけれど――辛いでしょ?」

私の問いかけに、ゆかちゃんは神妙な顔で押し黙った。

しばらくして、ゆかちゃんは小さく頷いた。

「……だからさ、そんな気遣いしたままじゃ……私も辛い。ゆかちゃんは気持ちに蓋をしなくて……いいんだよ」


中1の時から青石くんのことが好きだと言っている私の、そんな言葉に驚愕しているのか。

ゆかちゃんは「ライバル」と言ったときよりさらに驚いた顔をしていた。


「私も、気付いてあげられなくて本当ごめん……でも、これからは――勝負、だよ」


私は強気な表情でゆかちゃんに言う。

……ゆかちゃんは大切な友達。だからこそ、気遣いなく過ごしていたい。


「……ありがと……」

ゆかちゃんは照れくさそうに、それで居て嬉しそうに……そして、七夏さんに申し訳なさそうに。そんな表情を浮かべながら、そう言った。


ゆかちゃんが青石くんのことを好きならば、私はゆかちゃんに勝てない――そんな気持ちが、どこか晴れた気分だった。

友達だからこそ。勝てないと分かっている勝負にも、挑んでみたい。

心の中で強く思い、ポスターの下書きの続きを始めた。









――


そんなこんなで、由香里の話は終わりです。
1000字超えました。大変珍しい……w


テスト勉強したくないです笑