コメディ・ライト小説(新)
- Re: ぷわぷわーお! (オリキャラ募集中) ( No.28 )
- 日時: 2017/04/21 18:49
- 名前: のんたん (ID: SsVmP61.)
16.ウソツキ
工藤外亜です。今、お父さんを説得しています。
「......だから、ここだったら学校近いし何かと便利」
「ダメだ」
「なんで!?」
「女子校生を一人で住ませることはできない」
「でも」
「お前のことが心配だから言っているんだ。それに何も学校を変えろと言っている訳じゃない。通学に時間は少しかかるけど、別に友達は変わらないんだから、お父さんと一緒に函館に来なさい」
全面否定されます。なぜ? でも私も諦めません。
「逆に行かなきゃいけない理由なんてないでしょう?」
「外亜」
「だったら、こっちのほうが家賃的にも(ボロいから)安いし」
「外亜!」
「だから」
「何度言ったら分かるんだ! ダメだと言ったらダメだ!!! 父さんと函館に行くことはもう決まっているんだっ!!!」
お父さんが私の前で取り乱した。お母さんが死んでから初めてだ。こんなに怒るなんて思わなかった。呆然とお父さんを見て、ぼそっと呟いた。
「......こういうとき、お母さんならなんて言うかな」
「......外亜」
名前を呼ばれて顔をあげる。そこには見たことのない父の顔があった。そして衝撃の言葉を発した。
「......もうお母さんのことは忘れなさい。そんな遠い昔の話、父さんはもう忘れた」
「......は?」
「母さんはもういない。父さんは母さんの顔も忘れた」
途端に電話の音がせわしなく鳴った。お父さんは自分の部屋にそそくさと戻っていった。私は一人でリビングに残って、つけっぱなしのテレビを見ていた。歓喜の声が流れるが、私の耳には届かなかった。騒がしいテレビの前で私はすすり泣いた。涙が止まらなかった。まさか、お父さんがお母さんを忘れる訳ない。なのに、なのに......
「父さんの嘘つきっ......」
自分の部屋に戻っても、まだ涙は止まらなかった。そのままベッドに潜り込んでうずくまっていた。そしていつの間にか寝てしまった。
いつぶりだろうか。夢を見たんだ......