コメディ・ライト小説(新)
- Re: ぷわぷわーお! (オリキャラ募集中) ( No.38 )
- 日時: 2017/06/08 22:40
- 名前: のんたん (ID: .SLYx3CV)
21.エベレスト
お父さんは写真を見せた。笑顔が素敵な女性とここ最近見ていないお父さんの笑顔が写っている。
単刀直入に一言。彼女と再婚する、と言われた。来月にはもう入籍するみたいだ。私は黙って聞いているしかなかった。
「外亜の一人暮らしを反対したのは、既に再婚することが決まっていたからだ。別に母さんのことを忘れた訳でもない。あのときは感情が高ぶって、つい思ってもいない言葉が出てしまった」
お父さんが話すには、前電話をかけてきた女性と再婚すること、もう相手の両親には挨拶していること、そして彼女は"母親"になるための準備期間が欲しいということ。
「その準備期間中、外亜はこのアパートで来年の4月まで住んでいてほしい。父さんは彼女と一緒に暮らすから」
あっさりと話は終わってしまった。聞きたいことは山ほど......エベレストほどあった。
なんで私に紹介してくれなかったの? なんで一言も言ってないの? まだ私、お母さんになる人と会ってないんだけど?
「別に外亜を見放した、という訳ではない。彼女にも絶対会わせる。だから、外亜」
そしてお父さんは真っ直ぐ私の目を見て言った。
「お前にはこのアパートでの使命がある。必ず果たすんだ」
「し......使命? えってかもう行くの?」
「まだ引っ越しの準備が終わっていないんだ」
「私の引っ越し準備じゃなく自分の準備すればいかったのに」
「ははっ外亜は相変わらずだな。それじゃあ元気でな。ちょくちょく連絡取るからな」
「うん」
急すぎる展開に私は頭が追い付かなかった。なんかすっごく展開が早かったなぁ。
*****
「それじゃあ外亜をよろしく頼みます」
「外亜ちゃんを預けてくださってありがとうございます」
そう彼女が頭を下げると、彼は
「いえいえ、亡くなった妻が俺にお願いしていたことなんです」
と言った。どこか懐かしそうに話している姿に思わず微笑んでしまう。
「そうでしたか。どこか面影がありますね」
彼女は両手を広げ、空に掲げてこう言った。
「我らが女神がようやくアパートに来ましたわ。これで私たちの世代で全てが終わる......!」