コメディ・ライト小説(新)
- Re: ぷわぷわーお! ( No.46 )
- 日時: 2017/08/16 15:04
- 名前: のんたん(川島はるか) (ID: flKtWf/Q)
「ふふんふーん♪」
軽やかなリズム、心地よい音楽、楽しそうに歌う女性の声。風の音にかき消されることなく、より一層世界中に広がるぐらいの大きな声が耳元に届いた。
そっと目を開けると、そこにはイリスがいた。
「ガイアちゃん久しぶり」
27.ビボウ
「ねね、今の歌どうだった?」
「......綺麗な歌声だと思いました」
「ありがとー! 今度発表会で歌うの。それの練習しているんだ~♪」
そう言ってまた歌いだした。そうか、また私は夢を見ているのか。言われてみれば、夢を見るのも久しぶりである。
「発表会......。そう言えばセレネは......?」
「私だけよ。今日はどういうお悩みで?」
......悩み、何のことだろうか。私は訳が分からなかった。グルグルと頭の中で終わらないルービックキューブを回しているかのよう。
「もしかして知らなかった? あなたが悩んでいるときに私たちが現れるのよ?」
「私が、悩んでいるとき?」
「そそ! 一回目のときは違うけど、それ以外は全部」
言われてみればそうだ。二回目は美音ちゃんで、三回目はお父さんと対立して......。
「それで今回は何を悩んでいるのかなぁって」
「あの! イリスさんは前に、私のお母さんに会ったことがあるって言ってましたよね。私のお母さんってどんな人でしたか?」
これは二度目の質問。前ははぐらかされてしまったからだ。そうね、と一言呟いてイリスはそのまま黙った。
私は言葉を返してくれると信じて、じっと待っていた。イリスは遠くをぼんやりと見つめている。何かを思い出しているようだった。そしてぽつりぽつりと話し始めた。
「可憐で華麗で、その美貌を惜しむぐらい綺麗な人だったわ」
「イリスさん綺麗だし、スタイル良いし。羨んでいたんですか?」
「スタイルも良かったのよ。私はFカップなのに、あの人はハピネスカップ、つまりHカップだったのよ!?」
そう言って私の体に目を移した。思わず体を手で隠す。私スタイル良くないですよ!?
「......親子で体つきは似てないですよ」
「でも美貌は健在ね」
「び、美貌?」
「あとは優しくて、歌が上手だったのよ。私がさっき歌っていた曲は、昔あなたのお母さんが作った曲なのよ?」
「......はい?」
「あら知らなかったの? お願いしたら作ってくれたのよ。この歌はまだ私とあなたしか知らないわ」
それを発表会で歌っちゃうんだ。なんだか寂しいような気がした。
「もう一回、歌って貰うことは出来ませんか?」
「いいわよ。~♪」
イリスが歌い出してから、数秒ですぐに頭痛がした。何で、さっきは平気だったのに......。
「いっ......」
「そろそろ時間なのかしら。すぐ夢から覚めたほうがいいわ」
「で......もぉっ......」
「すごい熱! すぐまた聞けるから。今は自分のことを考えてちょうだい」
そのとき、イリスの顔がぐわぁんと歪んだ。体が火照って凄く熱いしダルい。上手く体が動かない。
あれ、私どうしちゃったの?
その瞬間、夕立の音が聞こえた。
「あれ、前回と繋がってなくね?」と思われた方、次の話でちゃんと繋がるのでどうぞお楽しみに。