コメディ・ライト小説(新)
- Re: ホロフロノス〜刻限の輪廻〜 ( No.17 )
- 日時: 2017/06/05 17:56
- 名前: 珠紀 (ID: X8Fl15uw)
目を覚ますとまたベッドの上にいた。
真っ白な床、真っ白い壁、真っ白な天井。殺風景な景色が広がっていた。
起き上がると、やはりホロスの姿があった。
「あなた……私を……どうするつもりなの。十年後の世界って……どうして」
「十年後の世界?じゃあ、お前十年前の……」
ホロスは日向子に歩み寄ると、彼女の手首を掴んだ。
日向子は唐突な彼の行為に、思わず身をよじる。
「離して!」
「駄目だ。どうして十年後の世界に来れたんだ……この世界の奴が手引しない限りあっちの世界の住人はこの世界には来れないはずだ」
遠慮のない力で、ぐい、と日向子は彼の顔間近まで引っ張られる。
「知らない!!あなたじゃないの!?あなたじゃないとしたらリッカという人!?」
「リッカ……?」
ホロスは眉間に深く皺を刻んだ。
「貴方、一体誰なの……?」
ホロスはその言葉を聞くと、少しばつが悪そうに目を逸らした。
逸らしたのと同時に髪の毛がふわりと揺れ、耳朶がちらりと見える。
「それっ!」
思わず叫んでいた。
その耳朶には三角形を作るように、黒子が三つ並んでいたのだ。
この形は珍しいから覚えている。
そして、ばつが悪いと目を逸らす癖。
まさか、とまじまじとホロスの顔を見つめる。
ホロスの顔がぼやけた。
そしてそれが優に変わる。
確信はなかった。
しかし、そう思って見てみると確かに面影はある。
ホロスは未来の優だ。
物心つく頃からずっと一緒にいた幼馴染。
さっきまでいだいていた恐怖心と不安感が少し和らぐ。
それにしても、日向子の知っている彼からは想像もつかない服装だ。
日向子が十年後の世界に来たことで、彼が日向子の元の世界にいた事についても納得ができる。
信じられないが、この世界でタイムマシンのような装置が発明されたのだろうか。
しかし、なぜこんな崩壊した世界になったのだろう。
戦争か何かがあったとしか考えられない。
一喜一憂する彼女の様子を眺めていたホロスが、おい、と声をかけた。
「な、なに?」
「ちゃんと説明してやる」
落ち着け、と掴んでいた日向子の手首を引き、置いてあった椅子に座らせると、ホロスはゆっくりと話しはじめた。