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コメディ・ライト小説(新)
- Re: ホロフロノス〜刻限の輪廻〜 ( No.6 )
- 日時: 2017/03/04 13:33
- 名前: 珠紀 (ID: 7W.y1FpB)
――よく夢を見る。
そこは、荒廃した光景を彩っていた。
瓦礫の山の前を通りすがる人々は皆うなだれ、引きずるように歩いている。
その姿からこの世界に絶望していることがうかがえる。
そして私は。
わたし、は―――――?
―ピピピッッピピピ…ッッピッ
「……うるさい」
乱暴に目覚ましを止めた手をたどると大きな膨らみのある布団にたどり着く。
もぞもぞと動く"それ"は勢い良く布団を引っペ返すと、一切乱れていないふわりとしたボブの髪にお日様のバレッタをつけ、一目散に部屋を出て階段を降りた。
「お婆ちゃん、おはよう」
座布団の上でお茶を飲んでいる祖母に挨拶すると、いつものように近くの仏壇の前に座る。
「お母さん、お父さん。おはよう」
両親は亡くなっている。
母は日向子を産んですぐに。
父は病気で昨年他界した。
残ったのは、日向子と母方の祖母だけだった。
今はその二人暮らしである。
仏壇から母の形見の懐中時計を首に下げ、朝支度を早々と済ませた日向子は玄関へと移動した。
「行ってきます」
ポツリと呟くと遠くから祖母の「いってらっしゃい」という声が聞こえる。
それを確認して、玄関の扉を開き歩きだした。
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