コメディ・ライト小説(新)

未来改変 ( No.1 )
日時: 2017/03/26 09:59
名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)

『それは、夢という言葉で表すにはあまりにも小さくて、でも美しかった。』


《第1章 永遠の夢》

Re;1 雨




雨が降り続く世界。晴れる日が、来ない世界。

この世界に、人は生きていない。人が消えた世界。

それが、全て。

いや、一つ間違いがあった。

一人だけ、この世界で生きている。

悲しき宿命を背負った、悲しき少年が。






今日は、雨が煩い日だった。いつもにも増して、雨は強かった。

聴こえるのは、雨の音と風の音だけ。

その音は、聴いていて気分の良い音ではなかった。

何十年も、聴き続けた音。

十六歳の少年の耳には、あまりにも合わない音だった。

分岐点は、まだ来なかった。いや、もう来ないだろう。

このまま、人生を終えるまでこの世界で生きるのか。

少年はそう思い、溜息をついた。

「おかしいな。慣れている筈なのに…。」

誰もいないこの世界で、少年は呟いた。




一万五千六百九十二回。少年がこの場所で、この言葉を呟いた回数。

少年・天月奶斗が、人生を繰り返した、回数である。