コメディ・ライト小説(新)

未来改変 ( No.11 )
日時: 2017/04/03 18:58
名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)

Re;11 国


《儀式》

この言葉が指すことを、日本国民は恐らく全員が知っているだろう。

この国を揺るがした事件は、これからも語り継がれていくに違いない。

それほどの出来事なのだが、実はその真実を知っている者は国のトップしかいない。

《少女の大量虐殺》

国民が知っているのは、国が流した曖昧な情報だけなのである。



しかし、この男・魁斗は違う。

超千里眼は、映像で流れている人物を視る事だって出来てしまう。

そう。テレビに流れている人物から情報を得る事だって可能である。

《知っている》。魁斗は、儀式の《真実》を。




「けど、今は話している場合じゃない。行かなければならない場所が出来た。」

そう言って魁斗は少し乱れていたスーツを正して鞄を手に取った。

奶斗は問いたい事が多数あったが、今は魁斗の言う通りにした。

選択肢が出現したからである。

《ついていく》《ついていかない》

いま、魁斗についていけば、何かが起こる。

今は、黙ってついていく。奶斗は、そう決めた。




魁斗はドアの鍵を掛けて、バイクに乗り出した。

奶斗は後ろに乗り、渡されたヘルメットを被った。

そして、バイクは勢い良く飛び出した。

「意外と冷静なんだな。」

「これでも魁斗より長く人生積んでるからな。」

「そういえばそうだな。」

沈黙。二人の間には沈黙が流れた。

しかし、気まずい沈黙では無い。

信頼の証拠の、沈黙である。

「どこに行くか、くらいは教えてやっても良いぞ。」

奶斗は迷ったが、一応聞いておくことにした。

「俺たちが今から向かうのは、国会議事堂だ。」

その時、確実とはいえないが、しかし確かに、奶斗は理解した。

これから対立することとなる、つまり敵は、《国》なのだと。


第2章 終わり