コメディ・ライト小説(新)

未来改変 ( No.13 )
日時: 2017/04/03 19:56
名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)

Re;13 何

魁斗は驚愕した。

突如襲来した男によって、《奶斗が撃たれた》からである。

バイクの反動によって押し出された奶斗は、謎の男が所持していた拳銃により、撃ち抜かれてしまったのである。

謎の男の襲来からここまで、約十秒の出来事。その出来事の間に、魁斗の脳内に入り込んできた情報は、本来魁斗が刷り込む事ができるいう量を、遥かにオーバーしていた。

謎の男から得られた情報もそうだが、何より、奶斗が撃たれる前に体験した出来事もそうだ。

奶斗が聞いた声を、魁斗は視た。

『アタタクオチカギカミサティー.』

魁斗が知り得る全ての言語を照合しても、解読する事は出来なかった。

そして、謎の男の正体。

男の名は、雁夜 篠。この男も、能力オリジンを持っている。

魁斗が聞いたこともない、あまりにも恐るべき能力オリジン

名付けるとしたら、《万物崩壊》。

この能力オリジンは、どんなものであろうと、掌に触れたら崩壊させるという力。

自分の意思で崩壊させるかさせないかを選ぶ事ができる。崩壊させることのできる物体に、制限はない。

さらに、崩壊させる事ができるのは、物体だけに限らない。

名付けた通り、どんな事であろうと、崩壊させる。

空気、液体、挙げ句の果てには物理法則まで。

崩壊、イコール消滅させる。

この能力オリジンを魁斗が把握しきるまでにかかった時間が十五秒。

撃たれるまでにかかった時間を、越している。

つまり、敗北。

魁斗は視ている間の時間は、何も出来ない。

魁斗が気付いた時には、篠に押さえつけられていた。

まだ視る事は可能だったが、魁斗には出来なかった。

圧倒的恐怖が、体を、心を支配していたからである。




そこから先の事を、魁斗は覚えていない。

目が覚めた時、そこがどこかは分からなかった。

魁斗は自分を視る事は出来ない。自分の身に何が起きたかを知る術はない。

魁斗が気を失ってから目を覚ますまでの時間で起きた出来事は、たった二人、いや、三人しかいない。

これから語られるのは、静かに起こった、人ではない何か同士の、戦い。