コメディ・ライト小説(新)
- 未来改変 ( No.15 )
- 日時: 2017/04/03 20:55
- 名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)
Re;15 滅
奶斗は、今まで感じたこともない、自分のモノではないような力を体全身に感じていた。
そして何より、非常に懐かしい感情になっていた。
それと同時に、確信を得ていた。
この力なら、この男を倒すことができる、と。
『オマエオワトウエス!』
奶斗は、お前を倒す!と叫んだつもりだった。
しかし、何故か違う言葉を発してしまった。
だが、この言葉はあの少女が発していた言葉と同じものだ、という事を理解した。
「いいじゃねーか。楽しくなってきた!なんか変な事口走ってっけどどうでもいい!久しぶりにクリエイターとの戦いだぜ!!」
そう言って篠は奶斗に向かって走り出した。
奶斗の目の前まで来た時、篠は掌を向けた。
奶斗は篠の能力を知らない。だが、本能的に察した。
《触れられたら負ける》
掌をひらりとかわし、その勢いで奶斗は篠へと拳を向けた。
拳に光が集まり、そして武器へと変わった。
フューチャー、《イリュージョンソード》。
単純に、相手を切る剣。奶斗の戦闘力で敵わない敵が現れて時に現れる、光り輝く剣。
今回現れた剣は、今まで発現したどの剣よりも、光り輝いていて、神々しかった。
剣に想いを宿し、篠の手を目掛けて振った。
この剣は、実際物体を斬る訳ではない。
《斬った》という結果を排除し、《斬られた》という感覚を残すのである。
これにより、実際には斬られていないが、相手は斬られた痛みを味わうのである。
手さえ斬ってしまえば、痛みにより動けないはず。
篠に向かっていく剣を止めた方法は、奶斗にとっては想定外の方法だった。
《受け止めた》のである。人間とは思えないほどの超スピードで、掌で。
ここで、能力同士の衝突が発生した。
お互いが今発動している力は、何かが触れた時に発動する力である。
その二つがぶつかり合った時、どうなるのか。
当然、両方発動する。
奶斗はイリュージョンソードが消滅して、篠は掌に痛みが発生した。
「‥ッハハ!痛ぇ!すげーな、痛みだけ与えさせる剣か!」
ここまで痛みを残すだけとはいえ剣で斬られて冷静でいられる人間に、奶斗は出会ったことがない。
「ま、いいや。」
そう言って、篠は斬られた右手に左手の掌を当てた。
そして、篠は右手を自由に動かし始めたのである。
斬られた、という事実を残すということは、右手が分断されている、という痛みを発生させているはずである。
しかし、篠は右手全体を自由に動かしたのである。
「何が何だか分からねえ、って顔してやがんな。痛みを、崩壊させたんだよぉ!」
聞いたことのない言葉の使い方を聞き、一瞬戸惑ったが、すぐに理解した。
そして、笑みを浮かべた。奶斗は、笑った。
「俺の能力はあらゆる全ての事象をこの掌で崩壊させる!」
あまりにも強い力。奶斗にとって、《丁度いい》力であった。