コメディ・ライト小説(新)

未来改変 ( No.16 )
日時: 2017/04/04 12:42
名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)

Re;16 絶


人が一番恐れるものは何か。

この問いには、決まって一つの答えが必ず付いてくる。

《死》である。

いかなる人間であろうと、今までの日常ではあり得ない場面に遭遇し、向けられた事もない銃口を自分に向けられたら、恐怖で動けなくなってしまうだろう。

仕方のないことなのである。

人が死を恐れるのは、生を持って生まれてきたからなのである。

生と死は表裏一体。生まれてこれば、いつかは必ず死ぬ。

その《死ぬという場面》に遭遇した時、人は必ず恐怖を抱く。

それが例え、どんな状況であったとしても、だ。

つまり、人の一番の弱点は、《死に直結する状況》なのである。




その弱点を、知らずの間に克服した人間が、今この場に二人いる。

一人は、無限とも思える人生の中で、何度も死に直結する状況を経験して、恐怖を《感じなくなった》人間。

もう一人は、恐るべきか《元々恐怖が無い》人間である。

死を前提に戦いが繰り広げられれば、当然決着は早く着く。

お互いが死ぬ事を恐れず、また、相手を殺そうと攻撃を仕掛けるのだ。

恐怖を《感じない》人間、天月奶斗。

彼は、望んで感じなくなった訳では無い。しかし、この悲しき運命が彼を強くしたのもまた事実。

ならば、恐怖が《無い》人間、雁夜 篠。彼は何者だろうか?

《人》か?《人では無い何か》か?

この戦いの果てに、その答えは導きだせるのか?

少なくとも、この戦いが始まった時点で、結末は確定していた。

果たしてその結末は、二人の戦いの結末なのか。それとも、この世界の結末なのか。

どちらにせよ、二人の衝突が世界の進むべき道に大きな障害を発生させたのは、変わりようの無い事実となるのであった。

戦闘開始からわずか五分。

魁斗が目を覚ますまで、あと五十五分。

結末を迎えるまで、あと五十五分。