コメディ・ライト小説(新)

未来改変 ( No.19 )
日時: 2017/04/04 13:46
名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)

Re;19 終


魁斗が目を覚ましたのは、国会議事堂の地下にある施設、《刻牢獄こくろうごく》だった。

なぜこの場所に魁斗がいるのか。

その理由を語ったのは、刻牢獄最高責任者であり、元総理大臣である帝 総司である。

彼の口から語られたのは、魁斗が持つ全ての情報を、遥かに上回っていた、この国の残酷なる現状だった。

それらが全て語り終わった時、魁斗は絶望した。

自分の置かれている状況に、そして、奶斗の悲惨な死に。

まず、なぜこのような場所に魁斗がいるのか。

ここ、刻牢獄は、裏政府と呼ばれる集団の拠点となっている。

儀式の秘密を知るもの、そして、儀式により政府から追放された者達が集まる集団、それが裏政府。

彼らの目的は、現在の政府の解散、そして自分達が国のトップへと返り咲き、再び政治の実権を握ろうとすることであった。

しかし、現在の政府は軍の力を持っている。

さらに、裏政府を潰そうと日々努力しているのだ。

現政府と裏政府は、深い因縁がある。

そこに、《儀式》が関わってくるのだ。

総司から語られた儀式の真実は、魁斗には到底理解できないような内容となっていた。

《儀式》とは、現政府が権力を握るためにその時のトップを追放しようとして行った、ただの意味のない行為だったのだ。

現政府は、第三次世界大戦を起こそうとしている。

今の日本の領土を拡大し、世界征服を目論んでいるのだ。

その時、戦うのは当然男。

なんと現政府の人間達は、少女は要らないと考えたのである。

その時トップだった政府の人間、総司もそのうちの一人だが、彼らを追い出すために、必要ないと判断した少女の命を使い、その行為をその時の政府のトップが行なったとなすりつけ、政府から無理やり追放したのである。

そう。儀式によって殺された少女達は、権力争いのために、《使われた》だけだったのだ。

魁斗が知っていたのは、儀式とは外国とのいざこざで見せしめのために行われたという事だった。

この情報でもかなり酷いのに、実際はもっと酷く、くだらなかった。




そして、政治の実権を握った現政府は、能力者、通称クリエイターの存在を知った。

そのクリエイターを集めて、第三次世界大戦においての軍事力の要にしようと考えた。

そこで初めに勧誘されたのが、雁夜 篠だった。

彼は他のクリエイターを力でねじ伏せて攫い、現政府の人間にしようとしていた。

だから、魁斗と奶斗の元に現れたのである。

裏政府はこれを阻止しようとし、あらかじめ情報を入手して篠を止めようとしたのだが、駆けつけた時には既に遅く、奶斗は首無し死体で発見された。

その時篠も心臓を貫かれた状態で発見され、篠も死亡したわけなのだが、その事実は魁斗の心を大きく苦しめた。

なぜ自分は、何もできなかったのか。

そうやって、自分を責めた。

しかし、魁斗は一つ疑問を抱いた。

総司の話から纏めると、この世界はまだ《続いている》のだ。

奶斗が死ぬと、この世界は《リセット》されるはずなのだ。

なのに、されていない。

これは一体、どういう事なのだろうか。

結論から言おう。

天月奶斗は、生きている。



第3章 終わり