コメディ・ライト小説(新)

新章 ( No.20 )
日時: 2017/04/04 14:11
名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)

『これから起こる出来事なんて、誰にも分からない。』



《第4章 新しき物語》


Re;20 真


少年は、血の繋がらない妹の手を握り、街中を歩いていた。

二人は、何の目的も持たずに歩いている。

ただ、淡々と、歩いている。

この世界に絶望した兄と、兄に従うだけの妹。

二人の物語は、ある青年との出会いで始まる。




二人は、特殊な力を持っていた。

手を繋いでいる時だけに発動する、特殊な力が。

それは、口にした事が実際に起きる力。

自分達に干渉することしか起きないが、その力はあまりにも強すぎた。

二人は好んで社会から外れ、何の意思も持たずに、ただ歩いていた。

そんなある日のことだった。

謎の青年が、目の前に現れ、話しかけてきた。

能力名オリジンデータ発言創造、中々強えじゃねーか。お前ら。」

自分達の特殊な力の事を言っている。

兄・河津 雄哉はすぐに悟った。

すぐに警戒して、謎の青年を睨みつけた。

「あ、警戒してるな。ま、仕方ねーか。俺の名は雁夜 篠。お前らと同じく、特殊な力を持ってる人間だ。」

兄、雄哉の考えている事が伝わったのか、妹・浜野 芽亜も青年を睨みつけた。

「あーあー、そりゃあ警戒されるわな。俺はお前らの敵じゃねえ。むしろ、味方だ。」

雄哉は、この男が何を言っているかを理解しなかった。

自分達は、誰にも頼らず、二人だけでこの腐った世界を生きて行くと決めたからである。

しかし、この男の次の発言は、その決意を大きく揺らがす事となった。

「俺、いや、俺たちと一緒にこの世界をぶっ壊そーぜ。」

この腐った世界を、ぶち壊す。

夢だった。二人の、最初に掲げた夢だった。

しかし、それはあまりにも非現実的だと、いつしか諦めていた。

その夢を、叶えようとしている人間たちが、いる。

今目の前にいる青年も、その志を掲げているのだ。

雄哉は、芽亜の方をチラリと見た。

芽亜は、小さく頷いた。

そして、二人は青年、篠の前に行き、言った。

「ぶち壊そう、この世界を。」