コメディ・ライト小説(新)
- 未来改変 ( No.27 )
- 日時: 2017/04/06 19:25
- 名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)
Re;25 世
雄哉と芽亜の能力は、発言創造。
細かい説明は一切不要。二人が手を繋いでいる間、二人に関する事を話したら、話した内容が現実に現れる。
この力に二人が気付いたのは、今から一年前のことだった。
ちょうどその頃両親が交通事故で亡くなり、二人は叔父と叔母の家に住まわせてもらった。
そこで彼等が受けた対偶は、悲惨なものだった。
残り物のご飯を少しだけ与えられて、寝床は与えられず毎日庭で寝ていた。
風呂にも入らさせてもらえず、人間として扱われたなかった。
その状況を、近所の住民は《知っていた》。
それなのに、彼等は動かなかった。
助ける事を、放棄したのだ。
どうせ他人だ、どうなっても良い。他人がどうなろうと、自分たちには関係ない。
人間とは、所詮そのような生き物なのだ。
自分のことしか考えず、自分に利が無いことはしない。
自分さえ良ければどうでも良い。
そんな人間でこの世界は溢れかえっている。
雄哉と芽亜は、幼くしてその事実を身を以て知ってしまった。
彼等の心は大きく傷付き、二人は心を開かなくなっていった。
そんなある日の事だった。
叔父と叔母が、どういう訳か自分達を家の外に連れ出した。
しかも、その前に風呂に入らせて、ご飯まで与えてくれたのだ。
あまりご飯には手をつけられなかったが、その状況に二人は疑問を抱いていた。
何故、このような事をしているのか、と。
彼等は、叔父と叔母によってある場所に連れていかれた。
そこは、今はもう廃墟と化している山奥の工場だった。
その中で待ち構えていたのは、黒スーツを着てサングラスをかけている男達だった。
叔父と叔母は、二人を連れて男達の前へ行き、そして突き飛ばした。
二人は最初、訳が分からなかった。
自分達が今、どういう状況に置かれているのか、分からなかった。
しかし、叔父と叔母が大量の金を男達から受け取って二人を置き去りにしたまま工場から出ていった時、雄哉は確信した。
自分達は、《捨てられた》のだと。
その後、雄哉と芽亜は引き離され、別々の車に乗せられそうになってしまった。
雄哉は必死に抵抗して、男達の手から離れようとした。
しかし、所詮は子供。大人の力には勝てなかった。
雄哉は殴られて、気絶した。その状況を目の当たりにした芽亜は、男達の手を掻い潜り雄哉の元へ走った。
男達は迷ったが、どうせ最後だ、といって追いかけるのをやめた。
芽亜は、雄哉の元へ駆け寄り、手を握った。
そして、泣きながら呟いた。
「お兄ちゃん…。怖いよ…。早くここから逃げ出したいよ…。」
その時、二人から謎の光が発生した。
その光は一瞬で消えたが、光が消えた後には、雄哉を捕まえていたはずの男達が《いなかった》。
芽亜が急いで周りを見渡すと、雄哉を拘束していた男達は、遠くで倒れていた。
光により、吹き飛ばされたのだ。
この時芽亜はまだ、自分達が手にしてしまった《力》の事を知らなかった。
しかし、これだけは分かったのだ。
《逃げ出せる》、と。