コメディ・ライト小説(新)
- 未来改変 ( No.34 )
- 日時: 2017/04/08 10:45
- 名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)
Re;31 始
そもそも、なぜこの戦いは始まったのか。
裏政府側にとっては、超千里眼を持つ魁斗がいるから、戦う理由は分かる。相手が何者なのかも、把握しているのだ。
しかし、ナンバーズにとっては、相手が何者なのかを知る由がない。
初めて会った人を、何者か判断するのは難しい。
ナンバーズは今、相手が何者なのか曖昧なまま戦闘を開始してしまった。
それで良かったのだろうか?
良かったのだ。
少なくとも、戦わないよりはマシである。
戦わなければ、何も生まれない。この世界では。
そういうものなのだ。人と人の対立が続いた、この世界では。
朝登が受け持つ事となった二人は、両者とも、能力者である。
朝登は、二人の能力を知らない。
だが、二人は魁斗からこの男の能力を聞かされている。
それは、能力者同士の戦いにおいてどれほど差をつけるか、朝登は分かっていた。
当然朝登は二人が自分の力を知っているなど、知らない。
しかし、何故か、朝登は直感的に理解していた。
この二人は、自分の力を知っている、と。
《勘》
役立つときはかなり役立ち、役立たない時は本当に無駄なものとなる。むしろ、マイナスと言っても過言では無くなってしまう。
更に、その勘が正しいかどうかを、確かめる術を人は持っていない。
朝登は、二人は知っている《かもしれない》というだけの認識である。
このように、勘というのは人にとって必要でもあり不必要でもある。
その勘を、極めた男がここにいる。
雄哉たちの相手である、国崎 凰牙。彼の能力は究極六感。簡単に言うと、運がとても良い。
この力は、特殊能力であるように見えて、実は超常能力なのである。
これまた詳しく説明するには科学者レベルの知能を一瞬にして獲得しなければならない為不可能だが、この力は決して物理法則を無視した力ではない。
《勘》と言うのは、《六感》とほぼ同類のものなのだ。
そもそも、六感というのは《視覚》《聴覚》《味覚》《嗅覚》《触覚》という人間の機能である《五感》に当てはまらない、直感的なものを指す。
つまり、ほぼ勘なのだ。
こうかもしれない、と頭の中で思い浮かべたり、ここでこういう動きがあるかもしれない、と察知するのも、全部六感であり勘なのだ。
人はこの六感を五感のように当たり前に使うことができない。
それを使うことができるのが、この能力なのだ。
意図して直感的な思考を操作することが出来る。究極六感とは、こういう事なのだ。
この能力は、玲子にとってはかなり不利である。
瞬間移動した先を、直感的に察知されてしまうからである。
しかも、雄哉たちの能力も、相性が悪いのだ。
《発言》をよまれてしまう。つまり、この先に起こることを察知されてしまうのだ。
雄哉たちの出来事は、決して無敵ではない。
物事を結末まで結びつけるのでは無く、物事を起こすだけなのだ。
つまり、《出来事》が発生するわけであって、《結末》が発生するわけではない。
起こる《出来事》を察知されてしまっては、彼らの能力は無力に等しい力になってしまう。
現時点においては最強と呼べる凰牙の力。彼の唯一の失敗は、自らの力を相手に話してしまったことである。
しかも、意図して話したわけでは無く、いつもの癖で。
「以上がこの俺、国崎凰牙の能力だ。さあ、いざ尋常に勝負!」
黒マントを脱ぎ捨てた凰牙は、とても強いというイメージを相手に植え付ける風貌だった。
ムキムキの体。怖い顔。そして、見た目とは関係ないが怖い声。
小さい子がこの男を見て、声を聞けば、泣き出してしまうだろう、というレベルであった。
この見た目も彼の強さの一つであるのだが、これに関してはなんの役目も果たさなかった。
あまり感情を出さない芽亜に、そもそも本人自体が怖いという玲子。
これに関しては、凰牙の負けである。
そんな感じで、雄哉たちも戦闘が開始した。
運を支配する凰牙に、果たして雄哉たちはどう立ち向かうのか。
雄哉たちの第一声は、
「俺たちの考える事をあの男、国崎凰牙に読まれないようになれ!」
であった。
前言撤回しよう。やはり雄哉たちの能力は無敵である。