コメディ・ライト小説(新)

未来改変 ( No.5 )
日時: 2017/03/26 12:29
名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)

Re;5 神

進んだ先には、何も無かった。

やはり過去を変えることは不可能なのか。そう思った奶斗は、絶望した。

未来は、確定事項なのだろうか。

しかし、まだ分岐点は残っていた。






突然雨が止んだ。いや、自分の周りだけ止んでいる。

そして、いきなり光が発生した。

眩しい。太陽の光が届かない雲に覆われてこの世界にとっては、あまりにも眩しすぎる光。

そして、とても美しい光。

やがて光は実体化し、少女の形へと変化した。

美しく光る銀色の長い髪。彼が久しぶりに見た、人である。

少女は、言葉を発した。

《アワチサハキメヅエス.アアナタオウスキアムエス.》

脳内に直接響くような声。何と言っているか、意味は分からなかった。

少女は俺が理解しているかを確かめる暇もなく、話し続けた。

《アアナタガワチソワツセカトチキニタカラガヒイロケーンエヂサミアミサティ.アアナトワツセカムエス.アワチソタアアナタギイスティーエックスンオヅアチイナネラベサキアホモヂラムエス.》

いつの間にか、少女の目の前に男が立っていた。

黒髪で、キリッとした男が。

そして、男は奶斗の元へ寄ってきた。

《アトニナムエス.》

少女は、そう言って消えていった。

その瞬間。世界は崩壊を始めた。

奶斗はこれが何を意味しているか知っている。

『リセット』される時の、現象である。

何故今『リセット』が行われているか分からなかった。

しかし、あの少女によって何かが変わったのは確実だろう。

男は、奶斗の前へ来て呟いた。

「俺の名は黒桐魁斗。リセットされたら、俺の元へ来い。信じてる。」

そう言って男は消えた。

奶斗は、確信した。

分岐点は、まだ存在していた。

未来は、変えられる。

そして、奶斗の意識へそこで途絶えた。









横断歩道の前。見知らぬ少女が、飛び出そうとしていた。

天月奶斗は、少女を助ける為飛び出した。

少女を突き飛ばした後、彼の前に選択肢が現れた。

『助ける』『助けない』

突き飛ばした後だった。

何を、助けるのか、助けないのか。

彼は理解しきれなかったが、自動的に『助ける』という選択肢が選ばれた。

時間停止が終わり、目を開けると、奶斗は歩道にいた。

少女を突き飛ばした勢いで、吹っ飛んでいたらしい。

道路では、何事も無く車が走っている。

奶斗が助けたのは、トラックの運転手だった。

今までと、明らかに違う。

世界は、変わっている。

奶斗は、ゆっくりと立ち上がった。




未来改変。それが、彼の能力。




第1章 終わり