コメディ・ライト小説(新)

未来改変 ( No.7 )
日時: 2017/03/31 12:47
名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)

Re;7 力


今まで世界を繰り返した一万五千六百九十二回、いや、先程のリセットで一回追加されたので新たに《一万五千六百九十三回》で、全ての選択肢を奶斗は経験したつもりだった。

しかし、まだあったのだ。

少女が助かり、自分も助かり、トラックの運転手も助かった。

この時点で、選択肢は無数に広がった。

一度でも違う選択肢を選んでしまうと、最悪な未来、いや、最終到着点のあの世界に誘われてしまう。

そうならないためにも、奶斗は未経験の選択肢を、正しく選んでいかなければならない。

まず最初に現れた選択肢は、《追いかける》《追いかけない》だった。

何を?奶斗はすぐに理解した。

今まで世界が最終到着点に結ばれてしまっていたのは、分岐点を作るきっかけ、《キー》が全て最終到着点へと結ぶ物だったからに違いない。

つまり、選択肢が無い、と言うのは厳密に言うとキーが残っていない、という事になる。

しかし、新たな、まだ奶斗が掴んだことのないキーが、発見されたのだ。

トラックの運転手である。



彼が何か重大なモノを握っている。

そう確信した奶斗は、《追いかける》を選択した。



ここで新たに、天月奶斗の能力で説明しておかなければならない性質がある。

それは、《フューチャー》と呼ばれる、力である。

彼が選択肢を選んだ時点で、世界は既に到着点を決定させる。

しかし、その到着点に人間の力では到底追いつけないケースがある。

その時、《フューチャー》は目覚める。

到着点に辿り着くための、人ではない《力》を与えてくれる。

今回の場合、どれだけ頑張ろうとトラックのスピードに人間では追いつけない。

そこで、足に虹色に光る靴が現れた。

この靴には、奶斗は何度も出会ったことがある。

この光る靴、奶斗が《レインボーキック》と名付けた靴は、奶斗の足の速さを劇的に増加させる。

走る時、人は地面を蹴る。その時、レインボーキックは強大な力を発生させ、奶斗を押し出す。

レインボーキックの役割は、速度増加だけでは無いが、今回はここで終わっておこう。



このように、未来を改変するにあたってどうしても不可能な箇所が現れた時、フューチャーは発現する。

奶斗は、この力に助けられて今まで生きてきた。

そして、これからも。









トラックの運転手は、ただの一般人だった。しかし、彼の存在は確かに未来へのルートに大きく干渉していた。

彼は、《知っていた》のである。

黒桐魁斗という、人間を。