コメディ・ライト小説(新)
- Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.10 )
- 日時: 2018/04/03 01:54
- 名前: Aika (ID: tcaX5Vvk)
Episode5:重なる視線の先。
好きになってはいけない―――――。
そう思えば思うほど、 なおさら
好きになってしまうのはどうしてですか?
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智也の好きな人が誰なのか分からないまま
モヤモヤしながら教室に入ると。
すでに志穂と智也は教室の自分の席に座っていて。
言い合いをしているようにも、見えるけど
仲良さそうに話していた。
もしかして。
智也の好きな人って…志穂?
いや、でもそれなら志穂に恋愛相談なんかしないだろうし。
やっぱり、分からないなぁ。
「あっ…桜ー!!」
途端に志穂と目が合って大声で名前を呼ばれてしまった。
わたしは手を振って、志穂と智也のほうへと向かっていった。
「わりぃな、桜。さっき置き去りにしちまって」
わたしが二人の元へと駆けよると
智也が決まりが悪そうにそう言った。
「ううん、いいよ。気にしてないから」
「ったく…志穂が余計な事ばっかり言うから」
「いいじゃん、別に。いつか言うんでしょ?」
「だーかーらー!!…お前、本当に黙っててくれないかな、頼むから」
わたしは言い合う二人を見てくすっと笑ってしまった。
なんか、夫婦漫才みたい。
でも…志穂はほかに彼氏がいるし、智也はほかに好きな人がいる。
この二人がくっつくことはない。そう思うとなんか、残念な気持ちになった。
――――キーンコーン…
チャイムの音が鳴って。
バタバタと全員が席に着き始めた。
わたしも慌てて自分の席に着く。
そういえば、クラスの担任の先生誰なんだろう。
ふと、脳裏でそんなことをぼんやりと考えていた時。
教室の扉が勢いよく開いて…。
入ってきた人物にわたしは目を見開いてしまった。
その人物は黒板に自分の名前を書き、みんなのほうへと向き直った。
それから口を開けて自己紹介をする。
「―――今日からこのクラスの担任になった相田裕樹です。1年間よろしくな」
途端に。
クラスメイト達がざわざわっと騒ぎ出した。
「マジで!??相田ちゃんが担任か」
「嬉しい!!」
「かっこいいし、国語の教え方もうまいしー…」
「1年間楽しくなりそうだよね」
裕樹さんは…男女を問わず生徒からの人気が高い。
1年生の時もわたしは裕樹さんのクラスじゃなかったけど
裕樹さんが担任だったクラスの友達がイケメンだし最高っていつも騒いでた。
頬杖をつきながら。
裕樹さんのほうへ視線を向けると。
ふと、 視線が重なった。
その時。
わたしに向かって裕樹さんは優しく笑いかけた。
その笑顔を直視できなくって。
わたしは慌ててうつむいてしまった。
今のって…わたしに笑いかけてくれたの??
でも、違ってたら…恥ずかしいし。
突然のことに頭がごちゃごちゃになって整理がつかなくなっていた。
―――先生は、 ずるい。
そんな風に笑いかけられたら。
「―――諦められないじゃんか、 バーカ…」
か細く、小さな声は。
クラスメイトのざわめきで…かき消された。