コメディ・ライト小説(新)
- Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.16 )
- 日時: 2017/06/10 17:38
- 名前: Aika (ID: MBdLXTlT)
Episode11:賭けの行方。
あのとき。
貴方が触れた手のぬくもりが。
今でも鮮明に残っていて。
忘れられない―――。
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―――あれから…なんとなく裕樹さんと気まずくなってしまって。
学校で目が合っても、すぐにそらされてしまう。
廊下ですれ違っても挨拶を交わすどころか、なにも言わずに素通りされてしまう。
そんな日々が続いてあっという間にテストの日がやってきて―――。
そして。
テスト返却の日―――。
「岡崎~」
裕樹さんに名前を呼ばれて、テスト用紙を取りに行くと。
そこに書かれている数字に衝撃が走った。
「んげっ!!」
わたしは、ヨロヨロとした足取りで自分の席へと向かう。
すると、智也がニヤニヤした顔でわたしのもとへ寄ってくる。
「さーくら!何点だったー?」
わたしは、横目で智也を睨み付けながら答える。
「28点」
すると。
智也は吹き出した。
「に…28点って、おまっ…あはははっ」
「笑いすぎだよ、智也!そして、わたしの努力の結果を笑うとか最低だわ」
「わりぃわりぃ…じゃあ賭けは俺の勝ちだなー。俺は赤点なんもねぇし」
「うぐっ…」
そう。
今回、智也は苦手科目を見事にクリアしてというか、全科目80点以上という珍しく好成績を出している。
智也は勉強すればなかなか頭が良かったりするからな…。
「はぁ…補習やだなぁ」
「桜。話を逸らすな」
話題を転換して遠ざけようとしたけど智也には見破られた。鋭い。
「わーかりましたよー!何がご希望なんですかね?」
「なんで、ちょっと喧嘩腰なんだよ、お前。まぁいいや…あのさ」
智也は少しだけ間を開けてから。
それから、わたしの瞳を真っ直ぐにみて言う。
「―――俺と…1日だけ…デート、してくれない?」
突然の智也からのそんな言葉に。
わたしは、戸惑ってしまって…唖然としてしまった。
聞き間違いかと思った。
だけど、 智也の真剣な瞳と少しだけ赤い頬をみて…。
そうは思えなくなってしまった。
「い…言っとくけど拒否権はお前にはねぇからな!今週の日曜の10時に駅前集合だから!ちゃんと来いよ!」
そう吐き捨てて。
智也は自分の席へと帰っていった。
何よ…わたしの都合も聞かずに勝手に決めて。
まぁ、日曜は暇だけど。
でも。
なんで。
智也は…わたしなんかとデートに行きたいのかな。
そんな事を頬杖をついて、窓の外の景色をぼんやりと見ながら考えていた。
その様子を。
「………………」
―――裕樹さんが見ていたとも知らずに。