コメディ・ライト小説(新)
- Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.19 )
- 日時: 2017/07/04 00:29
- 名前: Aika (ID: .SLYx3CV)
Episode14:すれ違う想い。
一方通行な想いに…行き場はあるのですか―――??
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「桜!!おはよー」
「…おはよ」
翌朝。
昨日のこともあり裕樹さんと顔を合わせるのが気まずくて―――。
正直に言えば学校に来たくなかった、けど。
休むわけにもいかないので、無理矢理に重たい足を引きずってきた。
そんなわたしの様子に違和感を感じたのか志穂がいぶかしげにわたしを見つめてる。
それから、そっと口を開いた。
「なんか、元気なくない?」
付き合いが長いだけあって。わたしが元気がないときはすぐに気づいてくれるのが…いつも志穂だった。
心配してくれてるのが伝わってきて。わたしは、裕樹さんのことを思わず話してしまいそうになった。
けど…話せない―――。
わたしは、笑顔を取り繕って。
何でもない素振りで答える。
「ううん、何でもないよ。フツーに元気だし」
「そっか…なら、いいけど」
さして気にした様子もなく志穂はそう呟いて二人で教室までの廊下をいつも通り歩く。
―――実は、わたしが裕樹さんのことを好きなことは。
親友の志穂でさえも知らないことだったりする。
志穂のことを信用してないわけじゃない。
勝手に人の好きな人を言いふらす子じゃないし。
だけど―――。
言えないでいる。
それは、 きっと。
裕樹さんが…先生であるから―――。
先生に対して本気で恋してるって言うのが…怖いから言えないんだ、わたしは。
―――なんて、 臆病なんだろう。わたしは。
こんなんだから、 いつまでたっても。
諦めたくても諦められなくって。
だからと言って本人に気持ちを伝えるわけでもない。平行線の…曖昧な関係のままなんだ―――。
「桜!!志穂!!オッス」
なんて、ぼんやりと考えてる矢先。
いつの間にか自分のクラスの目の前まで来ていて。
ギターのケースを片手に持った智也の姿があった。
そっか、 智也は軽音部だから朝練終わりか――。
「おー!智也、おはよう!!朝練お疲れさん」
志穂はいつものテンションで智也に駆け寄る。
わたしも志穂と一緒に智也の方に駆け寄って声をかける。
「おはよー。ライブ、近いの??」
「いや、とりあえず文化祭までは何もねぇかな」
「そっかー。そういや、来月は文化祭だね。早いわー」
志穂のそんな呟きにわたしも頷く。
中間テストが終わった途端。うちの学校は文化祭準備で騒ぎ始める。それが毎年の恒例だ。
「そだ!桜、日曜なんだけどさ…映画とかどう??」
智也が突然、思い出したかのように聞いてくる。
そうでした、文化祭以前にわたしの中ではもうひとつBIGな行事があったことを忘れてました。
隣にいる志穂が戸惑っているのが見なくても分かる。
「なに、日曜って??え、何々??」
「おめぇは黙っとけや」
詰め寄る志穂に対して冷たくあしらう智也。
苦笑いになるわたし。
―――これは、後で絶対にわたしが志穂に質問攻めされるパターンだななんて、ぼんやりと思っていた。
それにしても…映画、か。
たしかに丁度見たい映画あったし良いかも。
そう思いわたしは、笑顔で返事を返す。
「映画ね!うん、いいよ」
すると。
智也は優しい瞳でわたしを真っ直ぐに見つめて。
嬉しそうに言う。
「やった!!めっちゃ楽しみ」
―――その笑顔に。
なんだか見とれてしまった。
ジーッと見つめてると。
智也がいぶかしげにわたしを見て。
「なんだよ」
ぶっきらぼうにそう言った。
わたしは、いたずらっぽくクスッと笑ってから答えた。
「いや。…綺麗な顔して笑うんだなーって思っただけ」
そんな何気ない一言に。
智也の顔はみるみると赤くなっていき。
隣にいた志穂にからかわれていた。
「智也、顔真っ赤なんですけど」
「うっせ!!!!桜のせいだし」
「人のせいにしないでよー」
なんて、3人でじゃれていると。
―――不意に重なった視線に鼓動が揺れた。
廊下のざわめく喧騒のなか。
行き交う人混みのなかで。
かすかに見えたのは―――。
「相田ちゃん!!聞いてたー??」
「ああっ…わりぃ、何だっけ??」
「まーた、ボーッとしてた!!」
女子生徒に囲まれてて楽しそうに話してる裕樹さんの姿―――。
―――気のせい、だったのかな。
何となく…裕樹さんと視線が重なった気がしたけど。思い違い、かな―――。
うん、きっとそうだ―――。
だって…裕樹さんがわたしなんかを見るはずがないもの―――。
だから、 期待なんかしちゃいけない。
そう、自分に言い聞かせた―――。