コメディ・ライト小説(新)
- Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.2 )
- 日時: 2018/04/03 01:45
- 名前: Aika (ID: tcaX5Vvk)
Episode1:初恋は叶わない。
初恋は実らない。
昔、 誰かがそう言っていた―――。
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―――出会ったのは小学校1年生の春。
桜が舞う中。
わたしの住んでいるマンションの隣に越してきた人。
親同士が仲良くなって、 それからだった。
子供同士が紹介されたのは。
『桜ー!この子がお隣に住んでる相田裕樹くん』
『桜ちゃんよりも8歳ぐらい年上だけどよろしくねぇ』
お母さんと、 その相田裕樹って人のお母さんがニコニコと笑いながら。
紹介してくれた人。
それが、 先生とわたしの初めての出会いだった。
『えっと…相田裕樹です。よろしくね、桜ちゃん』
すらっと背が高くて。黒縁の眼鏡がよく似合っていて…整った顔立ちの格好いい人だった。しかも、 笑顔もとても優しそうで―――。
第一印象はそんなに悪くない。むしろ良かった。
だからわたしもにこっと笑顔で同じように返した。
『よろしく、お願いします』
いま思えば、 きっとわたしは。
このころから、 先生に恋してたんだと思う。
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季節は巡って。
中学2年の時。
当時、先生は21歳で大学3年目。そろそろ就職とか考えなくちゃいけない時期になっていた。
ある時。学校からの帰り道で偶然裕樹さんと会って二人で並んで歩いていた。
わたしは何となく、気になって裕樹さんの進路を聞いてみた。
「裕樹さんは…進路とかもう、決めてたりするの?」
土手沿いに立つ桜の木々が風で揺れる。
裕樹さんの黒髪も桜の花びらとともにサラサラと揺れ動いていた。
大学生になって…また一つおとなびたその雰囲気はまるで、自分が置き去りにされているみたいで辛くなる。
裕樹さんは間を置いた後。
はっきりと答えた。
「俺…教師になろうと思う」
真っ直ぐな瞳でそういう君は。
自分の将来をきちんと見据えている君は。
世界で一番格好良く見えて。
途端にわたしは、 やっとこの時自分の気持ちを自覚した。
わたしは、 目の前の貴方が。
愛おしくって。 好きなんだってこと。
「そっか…裕樹さんならきっとなれると思う」
そういうと。
裕樹さんは優しい笑顔で。
「ありがと、 桜。俺、頑張るわ」
桜の花びらがひらひらと揺れて、二人の間に零れ落ちてくる。
―――そんな笑顔向けないでよ。
そんな顔されたら、 勘違いしそうになる。
もしかしたら、裕樹さんもわたしのこと子供なんかじゃなくて。
1人の女の子として見てくれてるんじゃないかって。
同じ気持ちなんじゃないかって…うぬぼれてしまいそうになる。
「…そんなわけ、ないよね」
叶わない。
「ん??なんか言った??」
「ううん、なんでもない」
どんなに君を想っても。
君はわたしを好きにならない。
告白して、 フラれて…それで、今の関係が崩れるぐらいなら。
一生、 自分の気持ちは蓋をしたまま心の底に置いたままでいい。
たしかに、 この時。
わたしは本気でそう思っていたんだ――――。