コメディ・ライト小説(新)

Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.25 )
日時: 2017/08/29 16:14
名前: Aika (ID: 0otapX/G)

Episode18:想いを言葉に。






「ありがとうございましたー」

パンケーキ屋さんを出たあと。
わたしたちは、何となくショッピングモールのなかを回っていた。

なんか…こうして並んで歩いてると。

やっぱり、 わたしたちって付き合ってるみたいに見えるのかな―――。


そんなことをぼんやりと考えていると。
雑貨屋さんのところで智也が立ち止まり、不意に口を開いた。


「このぬいぐるみ…めっちゃ桜に顔似てんなー」

智也がそう言って指したのは。
可愛い顔の熊のぬいぐるみだった。
わたしは、ムッとして言い返す。

「何それー!わたしが熊みたいってことですか!」

てっきり。
そうだよって言って…いつもみたいにバカにしてくると思った。


だけど。



返ってきた言葉は。




「ちげぇよ!こいつみたいに…可愛いってコト」




わたしはそれを聞いて。
ポカンとしてしまって―――。



何も言わずに智也から目をそらした。



やばい。



わたし、 多分…
いま、顔赤い―――。




「あのさー…これから、行きてぇところあんだけど…いいかな?」

頬をポリポリとかきながら、そう言う智也。
わたしは、無言で頷いて。
智也に着いていった。




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連れてこられた場所は。
綺麗な噴水のある公園だった。
ショッピングモールの近くにこんな公園があるのなんか知らなかったな―――。

「智也…よく知ってたね、こんな場所」
「まぁな…なんか考え事したいときとか、一人になりたいときとか…行きたくなるんだよな、ここ」

ベンチに腰掛けながら智也はそう呟く。
わたしも、智也につられて隣に腰かけて言葉を紡ぐ。

「じゃあ、ここは…智也にとってお気に入りの場所なんだね」

智也は頷いてから。
わたしの方を向いて、真剣な瞳で言う。


「―――この場所教えたの…桜が初めてだから」


智也にとっては特に何の意味も持たない一言なのかもしれない。
だけど…。そうわかっていても。


わたしの鼓動はさっきからドキドキしてばっかりだ。

わたしは、 真っ赤な顔で言い返した。


「あのね、智也!それは好きな人とかに言うことであって…さすがのわたしも誤解するから!マジで」
「―――誤解じゃねぇし」

遮るような智也の言葉に。
わたしは、ビックリしてキョトンとした。

そして、智也はさらに言葉を重ねる。




「この場所に連れてきたのも…お前に聞いて欲しいことがあるから」





これは。




まさか。






智也は息を大きく吸って。
わたしの方を真っ直ぐに見つめながら。







自分の気持ちを言葉にする。










「―――俺…ずっと前から、 桜が好きだ!だから、俺と付き合ってください」









それは。
智也らしい、 ストレートな告白だった―――。










5月の風がそっと吹いて。
新緑の木々を力強く揺らしていた―――。