コメディ・ライト小説(新)

Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.33 )
日時: 2018/03/16 22:42
名前: Aika (ID: 4Ir7lKvg)

Episode26:告げられなくても。




自分の気持ちに気づいてからは。
学校にいるときには、いつも。
アイツのことを1日中、目で追い続けてた―――。

教師と生徒っていう立場上、この恋は叶うわけない。痛いほどそんなことは、分かっていたし
一生、 この思いはアイツには告げない。
そう決めていた。

なのに。

アイツが2年になって。
クラスが同じで担任になって。
さらに、顔を合わす機会が増えたとたん。
気持ちを抑えることが辛くなってきた―――。


「どーしちまったんだろな、俺…」


桜には…俺以外の奴と幸せになってほしい。
去年までは、アイツの将来のためにも…そう思ってたのに。
なのに。
アイツが他の奴と仲良くしてるのを見ると、最近はイラついてしょうがない。
なんで、隣にいるのが俺じゃないんだろうって思ってしまう。

「どーかしてるな、俺…」

そんなことをモヤモヤと考えながら、夜の都会の町を歩いていたとき。

「あのっ…困ります」
「いいじゃん、これから俺たちと飲みにいこーよ!」
「明日も仕事なんで…」
「まだ20時だし少しだけ!」

美人な女の人が…複数の男の人に絡まれているのが視界に入った。
見て見ぬフリもできなくて。
なぜか、俺は気づいたら助けに入っていた。

「―――俺の連れに何か用ですか?」

瞬間。

「んだよ、男連れかよ」
「はじめからそう言えよなー」

口々にそう言いながら男たちは去っていき。
その場が静まり返った。

女の人は唖然とした顔で俺の方を見ていた。

「すいません、あの…放っておけなくて無意識で助けに入っただけなんで…その…迷惑じゃなかった、ですか?」

捲し立てるようにそう言うと。
女の人はクスッと笑った。

「ううん、助かりました。ありがとうございます」
「じゃあ、俺はこれで―――」

去ろうとした瞬間―――。

服の裾をぎゅっと捕まれた。

「えっ?」

振りかえると。
少しだけ赤く染まった頬をした、女の人の顔が近くにあって。

「この後…少しだけお時間ありませんか?」
「えっ…?」
「さっきのお礼…させてくれませんか?」



―――これが、 俺と玲奈の出会いだった。