コメディ・ライト小説(新)

Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.37 )
日時: 2018/04/03 01:36
名前: Aika (ID: tcaX5Vvk)

Episode28:夜桜のなかで。





LINEで話していて、わかったこと。

玲奈は、俺よりも2つ年上の女性で大卒。
大学時代から付き合っていた彼氏にフラれたこと。
昔から男運が悪いらしく、 まともな恋愛をしたことがないらしい。

「美人なのも…大変なんだな」

俺はスマホのトーク画面を見ながらそう呟いた。
まともな恋愛、 か―――。


「―――そんなの…俺だってしたことない」


そもそも、俺の場合は。



好きになってはいけない人を好きになってしまった。



こんな気持ち…気づかなければよかった。




気づかなければ。





アイツとも…普通に接することができるのに―――。





そんなことを思いながら、自室でボーッとしてると。




LINE通話がかかってきた。





見ると、 かけてきた相手は…玲奈だった。





一瞬…桜かも、 とか思った俺は馬鹿だな。






「もしもし?なんか用?」



ぶっきらぼうに、出ると。
玲奈は小さな声で。



「―――今から…会えませんか?」








顔を見なくても。
玲奈の赤くなってる顔が目に浮かんできた。
俺は一呼吸置いてから。




「―――いいよ。今から会うか」




そう言って、 部屋を出た。





*****************************************************




駅の近くの公園で待ちあわせると。
先に、 玲奈は来ていた。
こちらに、気づいて笑顔で手を振っていた。

―――そんな、嬉しそうな顔されても困る。




そう思いながらも、俺は手をふりかえした。





川沿いはまだ、桜が咲いていて。
風が吹くたびに、川辺に桜が散る姿が目に写る。
夜空には、綺麗な星空が輝いていた。


「―――玲奈っ!」

俺は玲奈の頬に温かい缶コーヒーを当てた。

「あったか~!買ってきてくれたんだ!ありがとね」
「別にいいよ、こんぐらい」


俺は、買ってきた自分の分の缶コーヒーのプルトップを開けると。
一口だけ、口の中に含んだ。

そのとき。




「―――あたし、 裕樹が好き」







横を振り向くと。


赤くなった表情の玲奈が俺を見上げていた。





「裕樹に…他に好きな人がいることは、なんとなく知ってる!でも、それでもいい。他の人を想ってても構わない!だから―――」
「―――ごめん」




涙をためている、 玲奈を直視することができず。



俺は顔を背けながら返事をした。






「―――報われないって分かってても…やっぱり俺はアイツのことしか見れないから…だから、ごめん」



それだけ言い残して。
俺は玲奈から離れた。




それでも、玲奈は背中越しで、 大きな声で言う。







「―――あたしっ…絶対、諦めないから!!」






途端に、歩を進めていた足が止まる。
いまの言葉が鈍く、痛く、 俺の胸に突き刺さった。






―――なんで、 そんなに俺のことなんか好きなんだよ。
嫉妬ばっかして…好きな子に幸せになってほしいくせに、心の底から上手く応援できてない。
情けない男なのに。


ほんとは、 好きになってもらう資格なんかない格好悪い男なのに。





なのに。





振り返ると。
そこには、 迷うことなく、 視線をそらすこともない、 揺らがない瞳の玲奈がいて―――。


心が、 かきみだされる。


―――なんで、 そんなまっすぐな目で見つめてくるんだよ。
なんで、そんなまっすぐに気持ちをぶつけられるんだよ。





なんで―――。






「えっ…ゆう、き?」






気づいたら、俺は無意識で駆け寄って。










玲奈を、 抱き締めていた。






月明かりの光が切なげに、俺たちを照らしていた。